過去の「山野草図鑑歳時記・Ⅲ」のアーカイブ

山野草図鑑歳時記[Ⅱ][Ⅲ]、さらに山川草木・動物 歳時記[Ⅰ]・[Ⅱ]に続けます。 こちらは山野草図鑑歳時記[Ⅲ] のみのアーカイブです。

2012年05月

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                                    * 2012.5.15


2873) コナラ


 樹木の中で萌え出でる若葉が金色や銀色に輝くものがある。

 黄金色に輝く代表的な若葉といえば、それはまず、シロダモ[別名:シロタブ](*1206,*1514)だ。今の季節、あちこちでよく見かける。ゴールド リーフ・・・純金で作ったような葉だ。

 今回、久住の「長者原」(*A*)を抜けて、「三俣山」の麓の「雨ケ池」に至る登山ルートに沿ったところで出会ったものは白銀色の葉を持ったものだった。それは、プラチナで作ったような美しい葉だった。

 まだ生まれて間もない葉というものは、どんな樹木でも美しいものだが、このプラチナの葉は特別に光っていて、葉が捲いたようになっていて幼弱な感じもひどく魅力的だ。
 宝飾指輪のデザインとしても良さそうな感じがするが、この話をするといかにも“拝金主義”の片棒を担いでいるようで、自分が下品な価値観を持っているような感じがするのが嫌だ。

 とにかく、それは魅力的な色と形で美しいことには間違いがない。・・・何という木の若葉だろう?


 例の親切な樹木のサイト(*B*)で質問したところ、どうも、コナラの若い芽のようだ。

 コナラ(小楢)の「楢」は、人の名前の「楢林」、深沢七郎作の小説『楢山節考』の「楢」(ナラ)であり、昔から日本人の生活の近くにあった木なのだろう。
 でも、僕は今までその樹木を認識したことが無かったのだ。


 コナラ(小楢)は、ブナ目ブナ科コナラ属の落葉広葉樹である。この「コナラ」の名は、もうひとつの大きい種類のミズナラ(*)の別名であるオオナラ(大楢)と比較してつけられたという。

 「コナラ」はかつてから、木炭の原料や、シイタケの原木に使われてきた。多くの菌類と菌根を作るため、コナラ林には多くの菌根性のキノコ類(*C*)が出現する。
 関東以西ではクヌギ(*D*)と並んで人の薪炭(木炭)として重要な燃料源であったが、燃料の需要の主力が木材から化石燃料へと変化したことで、コナラの薪炭林としての位置づけは失われた。かつて東北地方の山村では、コナラのドングリ(*E*)はミズナラのドングリと並んで重要な食料であったらしい。時代の変遷とともに、必要とされなくなったり、土地開発によって、往古のコナラやミズナラの巨木の生い茂った森林も少しずつ失われてしまったという。

 この「コナラ」にも種類があり、シダレコナラ、テリハコナラ、アオナラ、亜種のフモトミズナラ、変種のマルバコナラ(ビワバコナラ)がある。さらに、交雑種があり、カシワ(*1330)との交雑種のコガシワ、ミズナラ(*)との交雑種のミズコナラ、ナラガシワとの交雑種のオオバコナラなどがある。和名のナラは、単にコナラ、ときにミズナラをさすのが普通である。

 このナラ類は北アメリカを中心に北半球の温帯に広く分布し、200種以上を含む大きなグループである。外国では「森の王者」と尊ばれ、建築材、家具材、洋酒の樽(たる)材として、また大量の実はブナとともにブタの飼料として重要であった。


 さて、コナラの幼弱な芽は、少しわかったような気がするが、はたして、樹木全体を見て僕にそれが「コナラ」の木だと判るのだろうか?・・・全く自信がない。







*【参照HP】 ① シロダモ[別名:シロタブ](*1206):[ http://blogs.yahoo.co.jp/ryujumihouchida/46555312.html ]、シロダモ(別名: シロタブ) [Ⅱ](*1514):[ http://blogs.yahoo.co.jp/ryujumihouchida/51144934.html ]、② 「長者原」(*A*):a.《旬の風 181》久住・長者原:[ http://blogs.yahoo.co.jp/rsytw766/5329195.html ]、b. サワギキョウ(*1808):[ http://blogs.yahoo.co.jp/ryujumihouchida/55613189.html ]、c. シラヒゲソウ(*1807):[ http://blogs.yahoo.co.jp/ryujumihouchida/55598781.html ]、d. ノリウツギ(*1248):[ http://blogs.yahoo.co.jp/ryujumihouchida/47074219.html ]、③ 例の親切な樹木のサイト(*B*):このこなんのき掲示板:[ http://bbs8.as.wakwak.ne.jp/bbs.cgi?id=10170 ]、④ ミズナラ(*):[近日掲載予定]、⑤ キノコ類(*C*):a.★≪12万回アクセス記念 ①≫ キノコ類①:[ http://blogs.yahoo.co.jp/rsytw766/628481.html ]から≪12万回アクセス記念 ⑳≫ シイタケ(*2690):[ http://blogs.yahoo.co.jp/rsytw766/960008.html ]まで。b. 《12万回アクセス記念≫ キノコの大世界:[http://blogs.yahoo.co.jp/ryujumihouchida/61275348.html ]、⑥ クヌギ(*D*):クヌギ(*1003):[ http://blogs.yahoo.co.jp/ryujumihouchida/42034143.html ]、b. クヌギ[Ⅱ](*1657):[ http://blogs.yahoo.co.jp/ryujumihouchida/53655093.html ]、c. クヌギ[Ⅲ](*1657):[ http://blogs.yahoo.co.jp/ryujumihouchida/53669767.html ]、⑦ ドングリ(*E*):⇒ イチイガシ[Ⅱ](*2822):[ http://blogs.yahoo.co.jp/rsytw766/3826297.html ]、どんぐりの種類(*D*):[ http://dongurikorokoro.fc2web.com/syurui.html ]、⑧ カシワ(*1330):[ http://blogs.yahoo.co.jp/ryujumihouchida/48398201.html ]

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                           * 2012.5.28



≪旬の風 190≫    

                       『酒とバラの日(々)』



 友人の『M』が自分で作った「バラ園」を 是非、見に来るようにと、3回も催促を受けた。

 バラの花は、この5月初め頃が最高の時を迎えるらしく、もう既に、散りかけているということだった。

 職場の帰り、まだ日の光のあるうちにと思って、仕事もそこそこに先日の金曜日(2012.5.25)に出かけたのだった。


 いつから、彼がバラ(*A*)というものに興味を持ったのかは知らなかったのだが、見事な「バラ園」だった。20種類以上のバラを上手に育てており、10年以上もの時間がかかったという。

 様々なことに興味を持っている『M』氏だ。乗馬とギター演奏が得意とばかり思っていたのだが・・・

 その彼が「バラ園」とは! お嫁さんの趣味を手伝って出来たものだろうと思っていた。


 「じょ、冗談じゃない! 嫁さんはノータッチで、全部ここまで 俺一人でやってきたのさ・・・」

「え・・・? ぜんぜん知らんかったよ。今まで何回もここには来させてもらってたのにね・・・・」

「このバラの咲いている時期には、来んかったんだろう。それしか、考えられない」

 
 夕食をご馳走になったが、彼が作ったというハム、スモーク・チキンほか、旨いものぞろいだった。

 その夜は泊めてもらう事になり、下手な僕とのギター・セッションで歌いまくった。彼が凝っている音響効果の部屋は下手な僕らの歌が上手に聞こえるほどのものだった。
 さらに、今年のウイーンでの「ニューイヤー・コンサート」を臨場感の強い大音響で聞いて、僕はご機嫌だった。

 さらに、宴は続き、彼が最後に聞かせてくれたのが、何とか言った故人のチェロ奏者の『無伴奏』というチェロの独奏曲だった。

(後で調べてみたら、バッハの『無伴奏チェロ組曲』(*B*)で、パブロ・カザルスという人によって再発掘されて世に出た名曲だそうで、彼の演奏する曲だった。)


 このチェロ独奏曲を聴いていると、心を揺さぶられ、涙が出てくると彼は言ったのだが、僕の心を打つものでは全くなかった。僕は本当に理解できなかった。彼の好きなジャズの音楽と同様に・・・

 彼からは、冗談めいて(本気で?)、『音楽のわからない人間』と言われたが、さらに、今度は話が飛んで、危険極まりないと僕が思っている日本アルプスの雪山登山の話が出た。

 これも、僕の理解できないことばかりだった。「バラ園」と「食い物作り」だけは理解できる。僕も少しは料理を得意としているのだが、この分野でも、彼は僕のはるか先を行っている人だと再認識したのだった。

 その夜は、久しぶりに熟睡した。

 朝、起きたら、お土産として、バラの花束とハム、スモーク・チキンを持たせてくれるという。

 彼のお嫁さんの美味しい朝食もご馳走になってしまったのだが、食べながら、彼が、

 「いや、お土産はあんたの奥さんに持って行って欲しいのさ。でも・・・今度さあ・・・僕の案内で、アルプス登山に行かないか? 面白いからさ・・・・」

 「ええ! あんな危ない所に行って、あの訳の判らない『無伴奏』という曲を聞くの? お断りだね」

大笑いした。2人とも・・・・

 「昨日の夜は、実に面白かったよ、また、きてよね・・・奥さんも連れて・・」


 この日のことは、いつか、きっと、また思い出すだろう・・・また、覚えているだろう。

 それは、もしかしたら、僕なりの・・・・

 あの名曲・『酒とバラの日(々)』(*C*)だったのかも知れない。











*【参照HP】① バラ(*A*):⇒ a. バラ(*1072):[ http://blogs.yahoo.co.jp/ryujumihouchida/43742280.html ]、b. バラ Ⅱ(*):[未掲載]、c. バラ[Ⅲ](*1518):[ http://blogs.yahoo.co.jp/ryujumihouchida/51176535.html ]、d. バラ Ⅳ(*1519):[ http://blogs.yahoo.co.jp/ryujumihouchida/51166952.html ]、e. バラ[Ⅴ]:ワイルド・ブルー・ヨンダー [ラプソディ・イン・ブルー] (*2577):[ http://blogs.yahoo.co.jp/ryujumihouchida/60797611.html ]、 f. ワイルドブルーヨンダー [ http://www.weeksroses.com/rose_wild_blue_yonder.htm ]、'Rhapsody in Blue' [ http://davesgarden.com/guides/pf/showimage/91767/ ]、5月の薔薇 ラプソディ・イン・ブルー [ http://www.youtube.com/watch?v=sIXK-yARJGM ]・・★これは・・まさに必見!、g. バラ[Ⅵ]・ドルトムント(*2639):[ http://blogs.yahoo.co.jp/ryujumihouchida/61109016.html ]、② 『無伴奏チェロ組曲』:[ http://www.youtube.com/watch?v=9Nep6sRHzUg ]、③『酒とバラの日々』(*C*):a. ジュリー・ロンドン歌:[ http://www.youtube.com/watch?v=mdUX6-JRkg4 ]、b.アンディー・ウイリアムス歌:[ http://www.youtube.com/watch?v=UB0GkgHpJLY ]、c. 映画「酒とバラの日々」:[ http://www.youtube.com/watch?v=g823dAO_IGU ]

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                                      * 2012.5.17


2877) ハリガネスゲ ? (未確定) 

    スゲ属「ハリスゲ節」の一種 コハリスゲ、マツバスゲ、ハリガネスゲのどれか



 久住の長者原は『タデ原湿地』(*A*)で見たものだ。

 湿地の植物を観察するための長い架橋が終わる所にもミズゴケ(*2875)があった。これを橋から降りたところで、近接撮影をしようとしたら、そこにあったものだ。

 背丈は、どうも・・10-20cm位のものだったように思う。黄色い穂か花かの大きさは3-5mm程度のもので、葉は少し硬い寡細いものだった。

 ミズゴケの方に興味をとられて、その植物はほんの数枚を適当にデジカメで撮っただけだった。

 パソコンの写真画面を見て驚いた。見たことのない植物で、穂の部分が美しい。穂の部分が二つに分かれていて様相が違う。上のほうはタヌキのしっぽ状で、下のほうは松傘のような格好だ。どうも「スゲ」のような植物の仲間ではないかとも思った。

 ここは、例のサイト(*B*)に質問を・・・ということで早速、質問した。

 [K]さんという方から、ご親切にも返事があり、スゲ属の植物であるという。
それも、このような穂が1つだけ、というのは数が少なく、「ハリスゲ節」のものと思われるとのことだった。[K]さんの手元の「日本のスゲ」という図鑑では、「ハリスゲ節」には7種が日本にあり、そのうち分布域が九州のものは、コハリスゲ、マツバスゲ、ハリガネスゲの3種だという。そこから先の鑑別は個々の「果胞」の大きさとか、構造の細かいところが重要で、これらの写真では難しいらしい。それに、この類は今でもあちこちで新種がでていて判断・鑑別は難しいだろうとのことだった。 [K]さんはわざわざ僕のために調べてくれたのだ。ありがたいことである。

 この超親切な[K]さんへの僕の返事。

 『まず、スゲ属でも特徴のある「ハリスゲ節」とされるものであることを確認いたしました。分布域が九州なのがコハリスゲ、マツバスゲ、ハリガネスゲの3種とのことで、それぞれをネット上で調べましたが、やはり、個々の細かいところはわかりません。
 この植物が山地の湧水湿地に生え、大分県の環境調査報告から、また、あくまで全体的な印象から「コハリスゲ」の可能性があると考えました。
 スゲ属「ハリスゲ節」のコハリスゲ、マツバスゲ、ハリガネスゲのどれかということで確認させていただきます。貴重なご意見をありがとうございました。』


 ハリガネスゲに関しては、同じスゲ属のマツバスゲとよく似ているが、小穂が短く、果胞が大きいことで区別される。ハリガネスゲ:小穂(0.5~1cm)、果胞(2.5~3mm)。マツバスゲ:小穂(1~2cm)、果胞は1.5~2mm。小穂の方は細い稈の上部に1個のみ付け、スゲ属でも特徴ある形態を持つ。ハリガネスゲの和名の由来は、稈が針金状で細いことによる。湿原やその周辺のやや沼沢性のある湿地に生育するが、全体に細くて弱々しく、葉は細くて1mm前後で短く、その気で注意しないと葉があるとは気づかない。
マツバスゲとよく似ており、区別は難しいという。

 こうなると、ハリガネスゲとマツバスゲではないと思われる。全体に細くて弱々しくはなかったし、葉は細くても3mm程度はあったので、葉があることはすぐに判ったのだから。それに、マツバスゲの場合、葉は細くて長いが、花のある時期には伸びていないとある。

・・・となると、残りは、コハリスゲか?

 「コハリスゲ」は、カヤツリグサ科スゲ属の野草だが、ハリスゲ類と併せてハリスゲ節とする説がある。本州から九州の湿地に生えるが、山地の湧水湿地に生え、生育範囲は狭い。九州での分布地は大分・宮崎・鹿児島だが、特に、大分県内の分布は、県の県環境調査でこの久住の「長者原」を含む「九重火山群」、「祖母・傾山」の地域であるとされている。
 山地の湿った斜面に見られる多年草とされ、高さ20cm程度。小さな株をつくり、葉は細く、花は、この時期の5月(から8月)で、茎の先端にひとつだけ穂がつく。別名は『コケスゲ』というらしい。


 このような状況証拠から、この野草を「コハリスゲ」としたい僕なのだが・・・・





★ P・S ★ 

* 2017.5.31 [ gemmifer ]さんという方から、次のようなコメントをいただいた。

 『これはハリガネスゲでしょうね。コハリスゲであればもっと花序自体短く、雄花部は画像のように長くはありません。ハリガネスゲはミズゴケ群落中でよく見ますが、コハリスゲはそのような場所で見たことはないですね。』

 ・・・・検討したい。



*【参照HP】① 『タデ原湿地』(*A*):(*A*):⇒ a. ≪旬の風 181≫ 久住・長者原:[ http://blogs.yahoo.co.jp/rsytw766/5329195.html ]、b. ミズゴケ(*2875):[ http://blogs.yahoo.co.jp/rsytw766/5331548.html ]、② ミズゴケ(*2875):[ http://blogs.yahoo.co.jp/rsytw766/5331548.html ]、ミズゴケの一種(*2874):[ http://blogs.yahoo.co.jp/rsytw766/5329077.html ]、③ 例のサイト(*B*):草花を愛でる方々のためのお尋ねBBS:[ http://www2.ezbbs.net/18/jswc_3242/ ]、④ ハリガネスゲ(カヤツリグサ科 スゲ属: [ http://hos0.big.ous.ac.jp/~hoshino/Labo/colorzukan/sugezk/hagyo/harigane/harigap.htm ]、② マツバスゲWIKIPEDIA[ ja.wikipedia.org/wiki/ ][ http://hos0.big.ous.ac.jp/~hoshino/Labo/colorzukan/sugezk/magyo/matsuba/matubap.htm ]、③ コハリスゲ・[ http://hos0.big.ous.ac.jp/~hoshino/Labo/colorzukan/sugezk/kagyo/kohari/kohari.htm ]

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2882) エンレイソウ 「シロバナエンレイソウ」


 九州にもスズラン(*557,*1217)の花の咲く所があることは知っていた。その具体的な場所については、漠然と阿蘇か竹田のあたりだろうと思っていた。

 先日の久住・阿蘇の小旅行のさい、阿蘇のカルデラ内で東阿蘇の「宮地」のほうから南阿蘇の「高森」に抜けようとしたときに、『スズラン生息地』という小さな看板を見つけた。

 どうも・・・看板の矢印からいくと、あの「オーム真理教」の施設のあった『波野村』方向に行くようである。気は進まなかったが、今の時期ならスズランの開花が見られるのかもしれないと思って車を進めたのだった。

 『スズラン生息地』の道標に従っていくと、途中にサクラソウ(*157-A)の咲いた台地があった。後の方には「阿蘇・根子岳」が見えている。そこは日本の原風景といった感じの『里山』があり、起伏する小さな草原もある。そこに『スズラン生息地』の小さな公園があった。

 誰もいない・・・・・。

 ビジターセンターみたいなものがあり、小さなおばあさんが奥にちょこんと座っていた。

 地元の農産物がいくつか置いてあったが、僕は、奥の窓ぎわに不思議な形をした鉢植えの植物を発見した。
 開平した大きな葉が三つあり、巨大なシロツメクサ(*A*)の葉にも見えるし、ムサシアブミ(*596)にも見える。ただ、三つの大きな葉の中央に白っぽいピンク色の花が咲いている。

「エンレイソウ 500円」と書いてある。

 『おお! これが聞いたことのあるエンレイソウか! こんな大きいものなのか!』と思った。即、それを購入した。

 『スズラン生息地』のスズランは、水辺にあるのかと思っていたが、公園の中の小高い丘にあったが、花は全く咲いていないどころか、花柄も出てはいなかった。

 エンレイソウは、【延齢草】と漢字で書かれる。

 年齢を延ばす草? 老化防止の草?・・・と思ったのだが、さにあらず。 
中国では「延齢草根」と呼ばれ、古くから胃腸薬や催吐剤などの薬草とされてはいるが、サポニンなどの有毒成分を含む有毒植物である。過量に服用すれば、嘔吐、下痢などの中毒症状を起こすとされる。

 エンレイソウは、ユリ科の多年草である。葉形と花形からタチアオイ(立葵)とも呼ばれるが、アオイ科のものではない。
 ひどく特徴のある山野草で、高さ20~40cmの茎を出し、頂上部に葉を3枚輪生させる。葉は菱型円形で、長さ幅ともに10~15cmもあり、その葉の結合した中央から2-3cmの褐色を帯びた緑色から褐色の目立たない花を一個だけ咲かせる。花期は4-6月(5月頃)である。萼片(がくへん)は1.2~2cmのものが3枚あり、緑色または緑褐色、縁は暗紫色を帯びるという。花のあとも落ちない。

 買ってきて一週間、我が家の玄関に飾ったり、庭木の下においたりして楽しんでいる。花は、すぐに落ちてしまったが、蕾のような萼片が今でも残っている。

 実は球形、緑色または黒紫色の径1-2cmのもので、熟すと果肉の部分は甘いというが、その実は一体どこについているのだろう?
 実の中の種子は約2mmで、白色の付属体があり、種子はアリによって散布されるらしい。

 北海道から九州にかけて広く分布するが、低地から山地の落葉樹林下のやや湿り気のある場所に見られる。

 種類としては、シロバナエンレイソウ(白花延齢草),オオバナノエンレイソウ(大花の延齢草),アメリカ・エンレイソウ(亜米利加延齢草)などがあるらしく、この購入したエンレイソウは花が白いので「シロバナエンレイソウ」のようである。





*【参照HP】① スズラン(*557):[ http://blogs.yahoo.co.jp/ryujumihouchida/26712837.html ]、スズラン[Ⅱ](*1217):[ http://blogs.yahoo.co.jp/ryujumihouchida/46709451.html ]、② サクラソウ(*157-A):[ http://geocities.yahoo.co.jp/gl/ryujumihouchida/view/20050929 ]、③ シロツメクサ(*A*): a. シロツメクサ(*75):[ http://blogs.yahoo.co.jp/ryujumihouchida/28332039.html ]、b. シロツメクサ[変種](*502):[ http://blogs.yahoo.co.jp/ryujumihouchida/25275422.html ]、④ ムサシアブミ(*596):[ http://blogs.yahoo.co.jp/ryujumihouchida/29685325.html ]

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2883) コンロンソウ


 コンロンソウは漢字で「崑崙草」と書かかれる。コンロン[崑崙]は、「崑崙山(脈)」を指すのだが、中央アジア地域(チベットの北部、中国の西部)にある約3000kmに及ぶ大山脈で、標高6000m以上の高山が200峰以上連なっている場所である。
 この和名の「コンロンソウ」は、中国大陸の「崑崙山」に白い雪が降り積もっている様子に由来するという説がある(不明とするものもある)。

 コンロンソウ・・・いかにも、中国大陸的だ。いやがおうにも、かつて行った中国のシルクロード(*A*)を思い浮かべる。
 
 「ゴビ砂漠」を真っ直ぐに突っ切る「甘新行路」、すなわち、現代の「シルクロード」、その南側には雪をかぶった「祁連(きれん)山脈」がうららかに見えていた。僕は「ゴビ砂漠」の砂塵にまみれながら小さなバスで一路、「敦煌」(*B*)に向かっていたのだった。
 その「祁連山脈」(*C*)の様子が、「崑崙草」の名前からすぐに連想されたのだった。

 この花は先日行った「阿蘇野草園」(*D*)で初めて見たものだったのだが、白い花はナノハナ(*C*)によく似たもので、細長い緑色の種の「莢(さや)」が花の下に放射状についていた。なにか、タネツケバナ(*318,*362)のような花序である。
 しかし、その葉の形状はナノハナにもタネツケバナにも全く似ておらず、むしろ、ヤマブキ(*553,*940)の葉にそっくりである。背丈は40cm足らずのものだった。

 
 「コンロンソウ」は、北海道から九州の山地の谷沿い、渓流沿いの湿地に生える山野草である。アブラナ科タネツケバナ属の野草で、高さは30~50cmの背丈があり、葉は長柄があって「奇数羽状複葉」になっている。
 小葉は5~7個あり、長楕円状の披針形で長さ3~7cm、葉先がとがり、葉縁には鋸歯がある。茎上部に短い総状の「花序」をつけ、白い十字状の4弁の花を4~6月に開く。根本から地表を這う匍匐茎を出して繁殖し、群落を形成するという。










*【参照HP】① シルクロード(*A*):【4万回アクセス記念】:[Anthology] :シルクロ-ドの旅[ Ⅰ]ー[Ⅷ]、シルクロ-ドの旅 [Ⅰ] [ http://blogs.yahoo.co.jp/ryujumihouchida/56904250.html ] ー シルクロードの旅 [Ⅷ] :[ http://blogs.yahoo.co.jp/ryujumihouchida/56991586.html ]、②「敦煌」(*B*):【4万回アクセス記念】[Anthology]:シルクロードの旅 [Ⅶ] :[ http://blogs.yahoo.co.jp/ryujumihouchida/56979144.html ]、シルクロードの旅 [Ⅷ] :[ http://blogs.yahoo.co.jp/ryujumihouchida/56991586.html ]、③「祁連山脈」(*C*):⇒ シルクロードの旅 [Ⅲ] :[ http://blogs.yahoo.co.jp/ryujumihouchida/56923131.html ]、シルクロードの旅 [Ⅳ] :[ http://blogs.yahoo.co.jp/ryujumihouchida/56939244.html ]、④「阿蘇野草園」(*D*):⇒ a. ハガクレツリフネ[Ⅱ](*2684):[ http://blogs.yahoo.co.jp/rsytw766/1010044.html ]、b. 阿蘇野草園について:[ http://www.minamiaso-vc.go.jp/wfg/ ]、c. ラショウモンカズラ[Ⅰ](*2869):[ http://blogs.yahoo.co.jp/rsytw766/5413278.html ]、d. ラショウモンカズラ[Ⅱ](*2870):[ http://blogs.yahoo.co.jp/rsytw766/5428797.html ]、⑤ ナノハナ(*C*): a. ナノハナ(*304) [ http://geocities.yahoo.co.jp/gl/ryujumihouchida/view/20051112 ]、b. ナノハナ[Ⅱ](*725):[ http://blogs.yahoo.co.jp/ryujumihouchida/36103898.html ]、c. アブラナ [別名:ナノハナ、ナタネ] (*1926)[Ⅱ]:[ http://blogs.yahoo.co.jp/ryujumihouchida/57241720.html ]、⑥ タネツケバナ(*318):[ http://geocities.yahoo.co.jp/gl/ryujumihouchida/view/20051121 ]、[ http://geocities.yahoo.co.jp/gl/ryujumihouchida/view/20051117 ]、ミズタネツケバナ(*362):[ http://geocities.yahoo.co.jp/gl/ryujumihouchida/view/20051206 ]、⑦ ヤマブキ(*553):[ http://blogs.yahoo.co.jp/ryujumihouchida/26602841.html ]、ヤエヤマブキ(*940):[ http://blogs.yahoo.co.jp/ryujumihouchida/39931648.html ]

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