過去の「山野草図鑑歳時記・Ⅲ」のアーカイブ

山野草図鑑歳時記[Ⅱ][Ⅲ]、さらに山川草木・動物 歳時記[Ⅰ]・[Ⅱ]に続けます。 こちらは山野草図鑑歳時記[Ⅲ] のみのアーカイブです。

2012年09月

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* 注意! 最初3枚の写真はスイゼンジノリ「水前寺苔」ではないと思われる。


                          * 2012.9.14


2965) スイゼンジノリ 「水前寺苔」


 熊本の「水前寺」には、観光で何回か行ったことがあったが、その「水前寺・成趣園」の和風庭園だけが有名なのだろうと思っていた。

 スイゼンジノリ[水前寺苔]という〝幻”みたいな〝のり”種類のがあって、抜群に〝鉄分”が多いために貧血改善の栄養食であることを、近年、知った。しかし、これは、まず、手に入ることはないようである。

 先日、スイゼンジナ「水前寺菜」[別名: ハンダマ](*2940)とういう野菜があることを知ったのであるが、これは、どこでも手に入る旨い野菜の一種らしい。

 つい先日、ある方から熊本市内にある『江津湖』(*A*)という水辺の景色の素晴らしい場所を教えられ、行ったのであるが、ここに「スイゼンジノリ発生地」があることを知ったのである。

 
 スイゼンジノリは、九州の一部にのみ自生する日本特産の藍藻類であるという。その生育条件というのは大変厳しいようで、現在はこの上江津湖の特別保護区の中でのみようやく生育している状況であるらしい。

 スイゼンジノリは、茶褐色で不定形。単細胞の個体が寒天質の基質の中で群体を形成し、その郡体は成長すると川底から離れて水中を漂うらしい。九州の朝倉市甘木地区にも生息するということを聞いたことがある。

 最初は、熊本市の「水前寺・成趣園」の池で発見され、明治5年(1872年)にオランダの「スリンガー」という人によって世界に紹介された。「聖なる("sacrum")」を意味するスイゼンジノリの学名の一部になっている"sacrum"は、彼がこの藍藻の生息環境の素晴らしさに驚嘆して命名したものとされる。現在、天然記念物に指定されている。

 スイゼンジノリ[学名:Aphanothece sacrum]は、藍藻(らんそう)植物といい、微細な細胞が集まって群体をなしている淡水産藻類である。幅約4マイクロメートル、長さ6~7マイクロメートルの楕円形の細胞が集まり、寒天質に包まれて群体をつくる。この群体は、暗緑色、不定形で、袋状または扁平になり、多数集まって握りこぶしから人頭大の団塊になるという。

 弾力があり食べて〝珍味”として喜ばれ、「水前寺苔」「寿泉苔」「紫金苔」「川茸」などの名前で、地方特産の珍味として将軍家への献上品とかつてされていたが、現在も少ないながら商品化され、高級な日本料理の材料として使用されるという。
 養殖が試みられているが、その生育にはミネラルを含んだ貧栄養の綺麗な19度前後の水温や緩やかな淡水の流速などの条件が複合的に絡み、ゴミや木の葉などが混入すると売り物にならないなど、養殖は至難の業と言われる。

 清らかな流水環境に棲息する「藍藻」は激減していて、スイゼンジノリは、世界でも福岡県甘木市、この熊本市・嘉島町など、湧水の豊富な九州北中部の川に生息する「絶滅危惧種」である。

 当然のことながら、殆ど口に入る可能性のないスイゼンジノリを簡単に「貧血の治療食品」になるなんていう記載のある栄養関係本は、あまり信用ができないということになろうか。

 このスイゼンジノリを始めとする「藍藻」は35億年程前に地球上に発生したと言われる(地球は46億年程昔に生まれた)。「藍藻」は、細胞の中に核を持たず、遺伝子(DNA)は裸の状態で細胞の中央にあるという生物としては極めて原始的なものである。光合成色素のクロロフィルaやフィコビリンを持ち、地球に最初なかった酸素を生産してきた。これら「藍藻」はすべての生物の根源的な存在であることを知っておく必要があろう。

 そういうものが、この僕の住む九州にいまだ存在していることは、感動すべきことで、僕らはその美しい環境を是非とも守っていかなければならない。









*【参照HP】 ① スイゼンジナ「水前寺菜」][別名: ハンダマ](*2940):[ http://blogs.yahoo.co.jp/rsytw766/6907397.html ]、②『江津湖』(*A*):≪旬の風 206≫ 江津湖:[ http://blogs.yahoo.co.jp/rsytw766/7168146.html ]

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                                * 2012.9.28


≪旬の風 208≫    

                               鈴虫



 「鈴虫」を買ってきた。

 透明のプラスチックの虫かごに入ったもので、雄と雌が5匹ずつ

 飼い方、ふやし方の要領が書いてあって、350円とは、何と、お安いこと!


 その晩から 玄関で風鈴のような 涼しげな鈴虫の鳴き声が響いて流れる。

 なんとまあ、家中に風流な秋の雰囲気が漂うことか!


 僕は床について 彼らの連呼しあうような鳴き声の回数を数えながら寝る。

 その数は一秒ごとに4回もしくは5回である。2匹が同調してなくのである。

 彼らはもう一晩中もないている? ・・・きのうの朝、起きた時も鳴いていた。

 いったい、彼らは一晩に何回鳴くのだろう?


 今日の寝床・・・鈴虫の声の向こうに 庭の甲高いマツムシの声も混ざっている。

 『リーン・リーン・リーン・リーン・・・チンチロリン・・・』 

 永遠に続くこの繰り返しの中・・・また、僕は眠りに落ちていく・・・・・



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                             * 2012.9.27


2978) ニガクリタケ Ⅱ  


 先日、義兄を連れて雲仙に行ったとき、「似田峠」の林の中で見つけたものだ。
枯れた樹木の幹にビッシリと生えたキノコ(*A*)の一種。見たことのないものだと思った。

 キノコの名前のというものの見た目での鑑定には、「傘」の上と下(皺)の面の様子、「柄」の部分、その硬さ、乾燥度、匂い、成長の良し・悪し(成熟・未成熟)、さらには、周囲の環境、天気などの付帯的状況が必要と思われる。

 僕の場合、判らない物は、まず、「東京きのこ同好会」の「きのこミニ図鑑」を見て、あたりをつけるのだ。ここから幾つかの似たものを候補に上げてみて、調べてみる。それでも、殆どの場合が判らない。こうなって、同会の『キノコの掲示板』で出来るだけこれらのことを書き込んで聞いてみるのだが、僕の挙げた候補はまず当たることがない。
 それほど、キノコの(名前の)鑑定というのは難しいのだ。・・・僕には。


 『キノコの掲示板』で質問したところ『「ニガクリタケ」のような感じもするが、「傘」表面の色がニガクリタケとは大分違っていて、実物の「きのこ」も“このような色”をしていたのか?』との逆の質問が届いた。

 “このような色”?・・・・指摘された“このような変な(?)色”? どのように問題なのかが解らない。色が確かに暗い感じで、全体としては暗い画面だったので、やや補正を加えて、画面を明るくして再質問したところ、「ニガクリタケ」のようらしい。
 カサ裏が汚れたような硫黄色であるところがそれらしいというのである。表面の色彩は発生環境により幅がかなり広いように思われるとの注釈も付いていた。


 「ニガクリタケ」・・! まさか! あの乳児が離乳食に食べる可愛い『牛乳ボーロ』に似ているが、食べると【死】にいたる猛毒の、極めて注意すべきキノコのあの「ニガクリタケ」(*2687)と聞いてびっくりした。
 ニガクリタケというキノコは、丸っぽいもので、そのキノコのように『傘』が反りくり返っているものではないと僕は勝手に思い込んでいたのだ。「きのこミニ図鑑」のニガクリタケも『牛乳ボーロ』のようなものだった。

 もう一回、その「きのこミニ図鑑」を詳しく見てみる。確かに、『牛乳ボーロ』状になっているが、開いたものも載っていて、中心の焼けたパンのように見えるものもある。さらにその中に裏返しになって、傘の下面の皺の様子がわかるものが写っていた。その色といえば、こう、何というか猛毒の『鉛色』の不吉な色である。

 指摘された“このような色”というのは、このような『鉛色』なのか? 撮影条件による『影』ではないのかという質問だったに違いない。確かに、この色だった。

 「きのこミニ図鑑」には、ニガクリタケの傘裏の皺(ヒダ)は、当初は淡黄色だが、黒紫色に変化していくということが書いてある。今回の質問のお答えにも、表面の色彩は発生環境により幅がかなり広いと書いてあった。また、カサの裏が汚れたような硫黄色であるとも『ニガクリタケ』らしいと書いてあった。
 ただ、傘はどこかの段階で反り返ってくるとは書いていない。本当は、時間がたって乾いてくると、キノコ類の『傘』というのはさまざまの変化がおきてくるのだろう。割れてくるもの、萎んでいくもの、反り返ってくるもの、変色が強いもの、・・・いろいろなキノコ類の画像を見ていると、それが伺われるのである。
 いろいろ見た画像のなかには反り返ったもの、傘が割れたもの、傘下面の皺の間に黒いものがあるものなどさまざまだった。この“カサ裏のが汚れたような硫黄色”が『ニガクリタケ』らしいとされたところは、これが次第に傘下面の皺に黒いものが浮き出てくるのだろうと考えられた。
 ただ、僕は、見落としていた点があった。それは、「柄」の上部に糸くず状のツバをつけるという大きな特徴を見逃し、撮り逃していたことだった。。


 これらのことをお教えくださった掲示板のハンドル・ネーム[H@K」さんには深謝したい。

 『カサ裏のが汚れたような硫黄色、この傘の大きさと全体的な感じ・・・(これらの特徴は)猛毒のニガクリタケを念頭に起きます』

 結論はここに尽きるのだ。






*【参照HP】 ① キノコ(*A*)⇒キノコ類(*2585):≪12万回アクセス記念 ⑧≫:[ http://blogs.yahoo.co.jp/rsytw766/628481.html ]、② ニガクリタケ(*2687):≪12万回アクセス記念 ⑧≫:[ http://blogs.yahoo.co.jp/rsytw766/755140.html ]、③ キノコ類(*2585):≪12万回アクセス記念 ⑧≫:[ http://blogs.yahoo.co.jp/rsytw766/628481.html ]、『キノコ掲示板』(*C):[ http://www.tokyokinoko.org/cgi-bin/joyfulyy/joyfulyy.cgi?mode=ok ]、④ 「ミニきのこ図鑑」(東京きのこ同好会):[ http://www.tokyokinoko.org/zukan/sakuin.htm ]、⑤ キノコの掲示板:東京きのこ同好会:[ http://www.tokyokinoko.org/cgi-bin/joyfulyy/joyfulyy.cgi?mode=ok ]

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                             * 2012.9.17



2967) ケガワタケ


 先日、熊本の『江津湖公園』(*A*)の枯れ木の根元で見たものだ。

 キノコの「傘」の直径は4cm程度で、どうも傘の下にした「柄」がある。上から見た「傘」はだ脱水状態で乾びたためか、中央部が凹んだようになっている。「傘」の上には、小さな埃みたいなものが付いているが、これは成長した後に残ってくる「垢」みたいなものだろう。
 枯れているなら、引き抜いて「傘」の裏側の状態でも見てみるかと思い、引っ張ってみてみたが簡単にはとれない。かなり、乾ききっているからだろう。

 一見、枯れてしまったキノコ(*B*)に見えて、果たして、名前の同定が可能なものか・・・でも、思い切って、いつものキノコの質問サイト(*C*)に質問してみた。

 すぐに答えが返ってきた。「ケガワタケ」というキノコらしい。


「ケガワタケ」・・・毛皮のような茸(キノコ)?

やはり、「ケガワタケ」は「毛皮茸」のようで、肉が非常に強靭で革質なものらしい。通りで、引っ張っても簡単にはとれなかったのだと、思ったのだが、実は、傘の表面が淡黄色の地に濃褐色の鱗片で被われ、動物の毛皮を連想させるかららしい。

 「ケガワタケ」は、日本でも暖かい地方に多く、もともと、世界では西アフリカから東南アジアに分布する熱帯性のキノコらしい。日本は分布の北限にあたるらしい。

 傘は径3~8cmで、初めは類球形だが、次第に開いてくると中央が凹んだ饅頭(まんじゅう)形、さらには漏斗形になってくるらしい。
 傘の表面は初めは繊維状の鱗片で密におおわれて灰褐~黒褐色をしているが、傘が開くにつれて鱗片は散在し(中央では密集)して白~クリーム色の地肌を露出するらしい。
 傘の肉は薄く白色で、傘下の「ひだ」は密にあり、白色から黄色に変化するという。傘の縁は成熟するにつれ鋸歯状となり、傘下の柄は2-3cm程度である。シイタケ(*2690)より少し小さい多数のきのこが枯れた材から群がって発生していることが多いらしい。


 このような形の・・・すなわち、干からびたような傘の中央が凹んだようなキノコは見たことがあったような気がするが、今までは、枯れてしまったものとして注目してこなかったような気がする。
 いかにもありふれた普通種に見えるのだが、本州以北ではあまり見つからず、キノコの名前に詳しい人でも、当初は首をかしげることが多いという。九州以外では、高知県、鳥取県でしか見つかっていないらしい。


 さて、これが食用になるかどうかだが、アフリカのナイジェリアでは食用にしているらしく、肉や野菜と一緒に炒めて食べるらしい。成熟すると硬くなるので、柔らかい若い時期に収穫し食されるが、味はヒラタケ(*2678)に似ているらしくナイジェリアでは最も好まれているキノコの一つだそうだ。このケガワタケには、似ている「毒キノコ」が無いこともあり、多くのナイジェリア人には馴染みのあるキノコとなっていて、近年、栽培の試みもされているが、まだ成功してないという。

 日本人の口に合うかどうか、僕としては、その「試金石」になるつもりは、毛頭ない。







*【参照HP】① 『江津湖公園』(*A*)⇒≪旬の風 206≫:江津湖:[ http://blogs.yahoo.co.jp/rsytw766/7168146.html ]、② キノコ(*B*)⇒キノコ:a. キノコ類(*2585):[ http://blogs.yahoo.co.jp/rsytw766/628481.html ]、b. 《12万回アクセス記念》キノコの世界:[ http://blogs.yahoo.co.jp/rsytw766/620341.html ]、③ キノコの質問サイト(*C*):キノコの掲示板:東京きのこ同好会:[ http://www.tokyokinoko.org/cgi-bin/joyfulyy/joyfulyy.cgi?mode=ok ]、④ シイタケ(*2690):≪12万回アクセス記念 ⑳≫:[ http://blogs.yahoo.co.jp/rsytw766/960008.html ]、⑤ ヒラタケ(*2678):[ http://blogs.yahoo.co.jp/rsytw766/840819.html ]

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                             * 2012.9.12


2962) ドクカラカサタケ (← カラカサタケ)



 「玄関の前の植え込みの中に綺麗な白いキノコがあるんですが、ごぞんじですか?」

 職場の30歳前後のギャル(僕の定義では、30才までは一応“ギャル”の範疇)が、突然、質問してきた。

 「あのキノコ・・・真っ白で、食べられるでしょうかね? 旨そうなんですけど・・」

 どうして、「食べる」という発想がすぐに出てくるのかわからない。
『あのキノコって何?』と言われれば、いくらかはすっきりするのだが・・・

 「綺麗な白いキノコ・・・・? 今まで見たことないけど、食べないほうが無難でしょうね。後で見に行ってみようかな・・・キノコのことは、僕は全く判らないよ」

 そうは言ったものの、昼休み、すぐにその場に駆けつけた。

 確かに真っ白のキノコだ。鶏の卵よりは小さい丸いものと、奥には「傘」の開いたものが10個ほどあり、手前のものは車の車輪で踏み潰されていた。

 傘の屋根の部分には、こげ茶色の破片みたいなものが乗っている。茶色の付着物がひび割れて残っているようにみえる。確かに、キノコ(*A*)としては、整然とした形だ。それに、美しい純白色である。
 赤いキノコというのは、いかにも毒々しくて毒がありそうな感じだが、白いキノコというのは、まったく毒がないようにも見える。・・・が、もし、毒があるとすれば、飛び切りの触っただけで“いちころ”みたいな「猛毒」があるような感じもする。

 カイズカイブキ(*1005)の木の下に潜り込むような格好で写真を撮った。奥の大きな傘のあるものの傘の裏の状態ががどうなっているのか判らない。仕方がないので、手で引き抜いた。
 触っただけで“いちころ”の「猛毒」はなさそうだ。
ただ、キノコの柄というか、茎の部分を摘んで捕ったのだが、指にはネバネバ感も感じなければ、変な臭いもない。乾いたソフトな感じだった。傘の中の襞(ひだ)も放射状で整然としたものだった。


 わざわざ教えに来てくれたギャルには、食べられるかどうかを、ぜひ、教えなければならない。その前には、何と言う名前のキノコなのかが先決だ。
 見た感じでは、僕の少ないキノコ知識では、『テングタケ』の仲間ではないかと思われた。幼いものは丸くて白いもので、傘にはひび割れの残ったようなところがある。茎(柄?)のところには特徴的な節みたいなものがある。

 「東京キノコ同好会」の『ミニきのこ図鑑』(*B*)を早速、開いてみた。それからは、テングタケダマシ、コガネテングタケ、シロテングタケ、カラカサタケ、シロヒメカラカサタケなど考えられた。中でも「シロテングタケ」が最も近いと考えたが、その掲示板(*C*)で確かめるために質問した。

 【カラカサタケの仲間です。もし可能でしたら傘の表面を傷つけてみてください。赤く変色するようでしたら、「ドクカラカサタケ」です】 という次の日の早速のお返事だった。

 予想はまるで外れてしまった。からかさ(唐傘)みたいなキノコという意味だ。

 まず、興味がもたれたのは、傷つけてみて、赤く変色するようなら、「ドクカラカサタケ」ということだった。ただ、傷をつけてどのくらいの間、見ておけばよいか判らないので、ひとつをとってきて、職場のブーゲンビリア(*776)の鉢の中のコケ(*C*)の中に植え込んで確かめたのである。
 一時間たっても、赤くはならなかった。これは、毒のない「カラカサタケ」のようである。


 このカラカサタケ(唐傘茸、学名Macrolepiota procera)は、ハラタケ科カラカサタケ属のキノコで、ニギリタケ、オシコンボ、キジタケ、ツルタケと呼ばれることもある。
 世界中に広がる可食のキノコで、夏から秋、各種林内地上や竹林、芝上などに単生、散生するという。
 背が高く、カサの重みに耐え切れずに倒れているものもよく見かけるというほど大きくなるらしい。
 カサは卵型からやや中高の扁平に開き、幼時は褐色から灰褐色。成長すると表皮が破れ、大きな片鱗となって同心円状に表面に散らばる。地肌は、微細な片鱗に覆われ淡褐色から淡灰褐色に見える。カサの肉質は海綿状で、カサを握ってつぼめたあと手を離すと、勢いよくもとに戻ることからニギリタケの別名もあるらしい。

 カラカサタケの仲間は有毒種が多く、外見の似ているものが多いので、食用になるものでも誤食に注意すべきであるらしい。 大型のものでは、高さ20~40cm,「傘」は直径15~30cmにもなる。
 開く前の傘は球状にすぼんで卵型であり、茎の先端をつつむ。「傘」は柔軟な海綿質なので握っても砕けず、開くにつれ表皮は裂けて大きな褐色の鱗片となる。茎は円柱状,灰褐色で、表皮は細かく亀裂してだんだら模様をあらわす。茎の上部には動きやすい指輪状の「つば」があるが、これは上下に動く。さらに、カラカサタケの場合、人工的につけた傷による「傘」の肉の変色は見られない。
 ちょうど今の時期、夏から秋に竹林や雑木林などの光が差し込む場所に単生または散生するらしい。

 早速、傘の部分にハサミでつけてた。傷は一時間後も、2時間後も何の色調変化も出てこなかった。このことより、このキノコは、ドクカラカサタケでなく、毒のない「カラカサタケ」である。

 やはりこれは、食べられる方の「カラカサタケ」である。

 ちなみに、このドクカラカサタケ[毒唐笠茸]の毒性にかんしては、胃腸の刺激があり、食すると嘔吐,下痢をするという胃腸系の毒のようである。さらにこのカラカサタケによく似た「オオシロカラカサタケ」というものがあるようだが、このキノコの場合は、成長すると襞が緑色がかるという。かなり毒性が強いようで、嘔吐,下痢,腹痛などの食中毒症状だが、この方がドクカラカサタケよりもさらに毒性が強いようである。

 「カラカサ」というのは、近年聞きなれないものであろうが、「唐笠(カラカサ)」というのは、頭に直接かぶる「笠」に対して,柄のある「差し笠」を唐笠という。今の「こうもり傘」の前身みたいな傘で、かつては良く見られたものだった。

 そう書くと僕の年がばれてしまいそうであるが、30才までは一応“ギャル”の範疇という僕の「ギャル」の定義からも判るのかもしれない・・・


 早速、そのギャルには、一応、毒のない「カラカサタケ」だと報告しなければならないだろう。だが、ギャルとその友達が『可ッ愛いーー!』なんて言って、彼女らから一網打尽に捕られたあげく、みんなで『きのこ試食会』なんていいながら食べてしまった暁に「集団食中毒」でえらいことになってはまずい。
 毒のある「ドクカラカサタケ」のようだと言っておくほうがよかろう。それに、もっと、ドクの強い「オオシロカラカサタケ」も否定できないということにしておこうか。



・・・・と、書いたのだったが、後日「東京キノコ同好会」の掲示板(*C*)から再びのご返事があった。

 『傘表面のササクレの状態や、柄に小鱗片によるだんだら模様が全く無いことなどから、カラカサタケそのものではありません。傘や柄の特徴、大きさ等から、どちらかといえばドクカラカサタケの近縁と考えた方が良いと思います。』

 これには、さすがに、びっくり。
 
 早速、例のギャルに尋ねたところ、自分は食べてはいないが、もう随分多くの人(ギャルたち以外にも)教えたという。
 今日の仕事の帰りに職場の玄関前のカイズカイブキ(*)の植え込みの中を覗いたところ、その綺麗な白いキノコは一本もなく、完全に消失していた。

 たぶん、誰かが、採って行ったのだろうが、食べてしまったとなると・・・・恐ろしいことである。

 そのギャルには、あえて、『あれは、どうも、毒キノコのようだ』と嘘を言ったつもりだったのだが、それが本当に【毒キノコ】だったのだ。

 何かあれば、・・・・僕もその責任の一端があるような・・・・







*【参照HP】① キノコ(*A*):a. キノコ類(*2585):[ http://blogs.yahoo.co.jp/rsytw766/628481.html ]、b. 《12万回アクセス記念》キノコの世界:[ http://blogs.yahoo.co.jp/rsytw766/620341.html ]、②カイズカイブキ(*1005):[http://blogs.yahoo.co.jp/ryujumihouchida/42068003.html ]、③ 「ミニキきのこ図鑑」(東京キノコ同好会):[ http://www.tokyokinoko.org/zukan/sakuin.htm ]、④ きのこ掲示板(東京キノコ同好会):[ http://www.tokyokinoko.org/cgi-bin/joyfulyy/joyfulyy.cgi?mode=ok ]、⑤ ブーゲンビリア(*776):[ http://blogs.yahoo.co.jp/ryujumihouchida/36948968.html ]、ブーゲンビリアの花が平戸瀬戸を望む:[ http://blogs.yahoo.co.jp/ryujumihouchida/42070251.html ]、⑥ コケ(*C*):⇒コケ類(*C*):a. コケ類(*1954):[ http://blogs.yahoo.co.jp/ryujumihouchida/57374153.html ]、b. 15万回アクセス記念 ≪旬の風 198≫ 空から見た世界の森林地帯?:[ http://blogs.yahoo.co.jp/rsytw766/6432740.html ]、c. コケ類[Ⅱ]:15万回アクセス記念 ②:[ http://blogs.yahoo.co.jp/rsytw766/archive/2012/7/20?m=lc ]

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