過去の「山野草図鑑歳時記・Ⅲ」のアーカイブ

山野草図鑑歳時記[Ⅱ][Ⅲ]、さらに山川草木・動物 歳時記[Ⅰ]・[Ⅱ]に続けます。 こちらは山野草図鑑歳時記[Ⅲ] のみのアーカイブです。

2014年04月

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                                * 2005.2.3


359) トウダイグサ (別名:スズフリバナ) 


 佐世保でもちょっと郊外に出れば自然豊かな場所はいくらでもある。春先にレンゲ、オオイヌノフグリ、ホトケノザ、ナノハナ、タネツケバナ、ナズナ、ハコベ、スミレなどのカラフルな山野草の花々が咲き誇る草地は本当に天国のようである。

 僕は以前からそういう春のオ-ケストラのような花の草地に行って、音の無いシンフォニ-を聞くのが好きだ。そして、面白いことには、このオ-ケストラにも指揮者がいる。一段高いところで身体を振って指揮をしているのである。指揮者は一人ではなく、数人の指揮者が春風に合わせて身体を振っている。指揮者は皆、緑から黄緑色のグラデ-ションを付けた瀟洒な服をきこんでいる。それはトウダイグサという指揮者で、別名「スズフリバナ」とも言われている。指揮棒の代わりに「鈴」を振って、更なる春のオ-ケストラに彩りを与えるものである。僕はこの別名「スズフリバナ」の方の呼ばれ方のほうが遥かに好きである。

 トウダイグサと呼ばれる由縁は当然、他の野草よりは背丈があり、スッと伸びた茎の先で急に幾つかに枝分かれするからであろう。その先に緑から黄緑色のグラデ-ションを付けた葉が頭デッカチに広がっている。枝葉の広がり方は整然と等角度で上から見ると美しい。いよいよ先端部はほぼ黄色に近い緑になっている。            

 最近までトウダイグサには花が咲かないと思っていたのは間違いだったようである。昨年末に松浦市御厨の大山古墳に行ったときに発見した。トウダイグサの先端部の黄色の葉の中に極小さな白ぽい花が咲いていたのである。

                                  



作成者 ryujumihouchida : 2006年4月6日(木) 11:45 [ コメント : 0]

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                                     * 2005.2.3


358-A-Ⅰ) ノダケ   


 2-3日前から大雪が降っているが、今ごろは佐賀の天山は頂上から麓まで雪にすっぽり覆われているに違いない。そして、天山頂上付近にあったマツムシソウ、ウメバチソウなども厚い雪の下で春の到来を待っているであろう。 
昨年(平成16年)の秋、小城町から天山に行ってみた。天山方向の空は台風の影響で真っ黒い雲が垂れこんでいた。
「大雨にでもなれば、大変よね。でも、行ってみるか。お父さんが行きたいのなら、、」
責任転化をもくろみながら賛成するのは女のひとつの特徴だ。もし、大雨にでもなれば、『だから、言ったじゃないの。言わないことじゃないんだから、、、もう、、』
一生懸命に老体に鞭打ちながら運転し、ブツブツ言われたひにはかなわない。小雨がぱらつきだしたのでドキドキしていたが、嫁さんはいつものように助手席で『極楽トンボ』のように寝ていた。クネクネ道を少しづつ上がっていくと、運良く峠では急に晴れ間が出てきた。峠には数台のハイカ-と思われる人の車が止めてあった。僕も車を停止し外の空気を吸おうとした。


                              *** ノダケ(Ⅱ)に続く



作成者 ryujumihouchida : 2006年4月6日(木) 16:05 [ コメント : 0]




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ノダケ (Ⅱ)  

358-A-Ⅱ)ノダケ    
 
「わたし、寝てるからね、(また、山野草?)」...不機嫌そうに嫁さんが言う。

『何だ、てめぇ!、今まで寝てたくせに。それに、大雨にもならなかったが、俺の決行という重い決断の評価はどうなってんだ?』と言いたかった。

 そういう『クソックラエ!』の気持ちを吹き飛ばしてくれたのは、見たことのない山野草の群れだった。その中にこのノダケがあった。花はどこにあるのか判らないが、濃い紫色の花柄が上方に伸び、先端が破裂した花火のような構造をしている。破裂した花火の更なる先端も破裂したようになっていて、その先端に微小な『コマ』のような花が付いていた。ただ、このような構造をした植物は多い。   「九州の野の花」で調べると、これはノダケもしくはオニノダケであることが考えられた。1~2時間も辺りをウロウロして珍しい山野草の写真撮影を行い、車に戻ってきたが、嫁さんはまだ『極楽トンボ』のままだった。
 僕も眼を開けての『極楽トンボ』をしていた訳で、眠るのが彼女の『極楽トンボ』と思えば腹を立てるのは全くのお門違いであると考え直した。   
 『やあ、待たせたね、ごめん ごめん』という言葉をかければ良かったのに。もし、これが独身時代であれば、この言葉はごくスム-スに出てきているのに。・・・・・なぜ?

                                           *後日、 阿蘇山で今回「ノダケ」とした野草のミニ版を発見した。ここに掲載したものは、「オニノダケ」で、阿蘇で見たものが本物の『ノダケ』であると考えられ、ここに訂正する。(2006.4.6) 

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                                 * 2005.2.4


360-Ⅰ) マムシグサ                             
                           

 田平町ならちょっと深い森に入るとどこにても見られる気味の悪い山野草である。このマムシグサの類はいろいろあるが、僕はとてもじゃないが好きになれない。森の中の暗い小道を歩いていて、いつもその歩を一瞬止めさせられてしまう。マムシというよりはコブラか鎌首をもたげて当方を狙っているのである。それは明らかに蛇の攻撃姿勢であり、この姿勢に恐れをなすのは僕だけではない。動物全般がそうなのである。僕というヒト類を含む捕乳動物全般に組みこまれた「派虫類という動物への危険記憶」のDNAの中の遺伝情報が“恐れ”をもたらしているのである。                      

 まだ人類というものの存在が無く、その進化の段階にあった小さな捕乳動物は当時隆盛を極めていた派虫類(すなわち、恐竜やヘビ、トカゲの類)の餌であった。この頃より派虫類に対する“恐れと注意”が遺伝物質として今の捕乳動物全般、更には人間にも引き継がれているとされている。恐竜は6千500万年前に絶滅して現在はいないが、マムシやコブラはその毒で捕乳動物を倒すことができ、動物にとって最も警戒すべき派虫類となっている。いや派虫類から発生してきた鳥類だって危険性がある。まあ講釈はそれくらいとして、やはり動物も人もヘビが怖いのである。


            ****    マムシグサ(Ⅱ)につ続く。



作成者 ryujumihouchida : 2006年4月6日(木) 15:56 [ コメント : 0]




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360-Ⅱ) マムシグサ                              


 植物も少しずつ進化して現在に至っているのであるが、自分達の大切な部分や種が動物の餌になるのは御免とばかりに防護策をとってきた。例え食べられても種が遠くに運ばれるように果物というものを作って逆に動物を利用した賢い植物もある。動物や人間には毒になる種や実、花を持つものもある。養分を蓄えて次の年にそこから新しい株を出そうとしている植物はその養分を取られまいとして動物の最も怖がるマムシやコブラといった派虫類動物の真似(擬態という)をした。マムシグサの仲間はコンニャク科であり、その根に養分を蓄えるのであるが、このようなマムシやコブラといった派虫類の真似(擬態)をして食用にならず営々とこの地球上に生き残ってきたと言う訳だ。  一方、理性を持つ人間様はこのコブラのようなものを仏さまの頭や背中の後ろにある「火の炎」と見た人もいるようで、この部分は植物学的には『仏炎苞』と呼ばれている。マシグサの仲間には様々のこの『仏炎苞』を有しており、中には面白いものもある。いつか書いたカラスビシャク(ムラサキハンゲ)(*228)もこの仲間である。それはヘビの仲間のアオダイショウかシマヘビの身体を真似たものであろう。『植物が真似る』? 『眼もないのに』?・・・・・・それは見て真似たのではない。たまたま何かで突然変異を起こして、ヘビという動物に似ていたものが、他から食べられることもなくこの自然界の中で生き残ってきたのである。他の動植物もそうだ。  従って、『今、現在のこの自然界にある動植物は、僕も君も含めて、素晴らしい進化の最高地点にいる最高の“生き物”なんだよ!』とどこかの小学校か中学校の講演会で言ってみたい言葉である。

                                  



作成者 ryujumihouchida : 2006年4月6日(木) 16:01 [ コメント : 0]

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                                  * 2005.2.4


361) シラン


 『この花、何か知っとる?』と、ややラフに聞くほうが良い。その花の名前を知っている人も知らない人も正解を出すであろう。『シラン!』と。

 その花は「紫蘭」と書いて『シラン』というランの一種で、僕は随分前から名前を知っていた。確か、ずっと以前に母親からその名前を教えて貰ったと記憶している。
 この花がまさか僕の山野草の図鑑「九州の野の花」に載っているとは思わなかった。結構、人の庭で見掛けてきたのでてっきり栽培種もしくは園芸種とばかり思っていたのだ。『ほほう、これも山野草ねぇ!』と思うと、急に庭の隅で絶滅しかけていたシランを奇麗な鉢に植えかえる僕であった。その時、丁度、赤紫色の花が咲いていたが、虫が喰って花びらに小穴が開いているのが痛々しかった。

 シランは今まで良く見てきたせいか、僕には花として何かオ-ソドックスな花のイメ-ジがある。花びらもランらしくやや複雑で、よく見ると体全体、なかなか魅力的だ。紫色の中にちょっとした白斑があるのもいい。その後、ピンク色の栽培種の(?)ランを買ってきたが、これも多分シランの仲間と考えられ、なかなか魅力的な逸品であった。

 最近では、『この花、何か知っとる?』とラフに聞いて、『う~ん、正解だね』とわざと媚びたように驚いて見せる相手もいなくなった。過去に嫁さんにこれを数回して今では飽きられている。と言うより、シランの咲いている所では『ほれほれ、また言うぞ!』というような顔をされる。子供達にも恐らく何回もやってきただろう。
 でも、いいじゃないか!シランという山野草の花の名前を確実に一つ覚えたのだから。

                                  



作成者 ryujumihouchida : 2006年4月6日(木) 15:52 [ コメント : 0]

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                                   * 2005.2.6  


366) オシロイバナ  


 オシロイバナは子供の時から知っている。小学校の時に花壇によく植えてあった。
 佐世保ではかつてアパ-トに住んでいたが、その前には駐車場というか庭というか広いアスファルトで塗り固められた土地があった。そこは小さい子供達の遊び場となっており、ガラガラ音のする玩具の自動車の音、子供達の叫声が時折聞こえた。その西側の小さな一角に陽の当たらない花壇があり、そこには紫ピンクのトランペットのような不思議な形をしたオシロイバナ達があり、子供の遊びに入りたげにしていた。今はそこに遊んだ子供達も大人になり、そのオシロイバナ達がいたことも覚えている人はもう誰もいまい。また、いまもそこに紫ピンクのトランペットの花があるのかどうか?
田平というところは花に溢れ、花好きの人間が多い。この田平に来た頃、あの美しい瀬戸山教会のすぐ近くの道で黄色いオシロイバナが繁茂しているのを見た。最近では野田地区と田平港の間の民家の畑で色々の種類のオシロイバナが植えられていることを知った。オシロイバナは帰化植物とのことであるが、園芸ものが逸脱して野草化していると考えられる。というのは野草化しているものの花色が色々あるからである。元もとのオリジナルの花色のものは恐らく小学校の時に見たことのある、そして、佐世保のアパ-トに植えられていた紫ピンクのものではないかと思っている。

                                



作成者 ryujumihouchida : 2006年4月6日(木) 17:04 [ コメント : 0]

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