* 2017.05.29
4329) ウシオハナツメクサ(不確定) [Ⅱ]
* この記事は、前のウシオハナツメクサ(不確定)[Ⅰ](*4328)からの続編。
なんと! びっくりしたことには、昨夕見た半分枯れかかったようなその植物の傍に、緑の濃い同じものがあったのだ。
そして、よく見ると、5mmほどのピンク色の5弁の花が咲いているではないか!
昨夕は全く気づかなかったのに・・・・昼に来てよかった!
その葉はやはりツメクサ類(*A*)に似ているが、艶がなく、何かベトベトしたものが触れる感じがする。蕾らしい膨らみには黒い点が幾つかある。
近くの枯れたような株では、黒っぽい実らしきものは見えたのだが、多くのものは種は落ちてしまっているようにも見える。これは、明らかにハマツメクサ(*B*)とは異なる別種類の植物のようで、ツメクサの一種であろうと考えた。
ツメクサの周辺の植物を調べていたのだが、『ウシオツメクサ』という言葉は見逃したらしい。
今度は、またいつもの「H」さんからコメントが来ていた。
『ナデシコ科ウシオツメクサ属の植物だと思われるが、ウシオツメクサ、ウシオハナツメクサ、ウスベニツメクサで調べてみてはどうか』とのコメントがあり、『この花は陽が充分に当たらないと開かない』と思うとのコメントも付け加えられていた。
次に「H」さんから、鑑別が問題になりそうな「ウシオツメクサ」と「ウシオハナツメクサ」についてのコメントが届いていた。
『雄蕊の数はウシオツメクサが2~5個、ウシオハナツメクサが3~5個、ウスベニツメクサが6~10個であり、その他、(鑑別には)托葉がはっきりと分かる写真も必要』とのコメントだった。
問題は、この野草が「ウシオツメクサ」か「ウシオハナツメクサ」か「ウスベニツメクサ」か?ということになる。
「ウスベニツメクサ」は、北海道や本州に帰化しているとされ、九州での報告はないようである。さらに、この「ウスベニツメクサ」の花弁は基部まで均一な淡紅色とされるので、まず、この「ウスベニツメクサ」という野草は鑑別から外してもよさそうである。
結局、「ウシオハナツメクサ」や「ウシオツメクサ」のいずれかということだろうが、これがなかなか難しい。
両者の鑑別点とされる雄蕊の数や花序の葉と花柄の長さの長短?という点では確認がかなり難しい。雄蕊の数がウシオツメクサが2~5個、ウシオハナツメクサが3~5個、これでは両者は鑑別できない。
花序の葉と花柄の長さの長短、それに葉や茎の腺毛の密度が違うようだが、これらの所見は両者を並べて見ないと分からないだろう。
だが、たしかに、この野草には葉や茎にベトつきがあり、葉や茎に腺毛があるのだ。「ウシオハナツメクサ」の萼片には腺毛が生えているというが、確かにこの野草の萼片にはベタつく小さな毛が生えている。一方の「ウシオツメクサ」にはこの腺毛が少ないとの記述が多いが、はっきりしていない。
両者の重要な鑑別点は、花の様子かも知れない。「ウシオツメクサ」の花びらは白色か先の方だけ淡紅色で、「ウシオハナツメクサ」は基部だけ白いという。こうなると、この花の様子は、花びらの先端に近い方がピンク色であり、「ウシオハナツメクサ」の可能性が高い。
さらに調べてみると、この野草にもあった萼片の下部の黒い点に関する記載もある。
だが、その黒い点は「ウシオツメクサ」「ウシオハナツメクサ」のどちらも萼の基部近くに黒い班点があるという記載がある。萼の基部近くに黒い班点があれば、「ウシオハナツメクサ」という話もあるが、定かではないようだ。
ここまで調べてきたのだが、結論的には、この植物は、どうも「ウシオハナツメクサ」の方のようである。
「ウシオハナツメクサ」は、ナデシコ科 ウシオツメクサ属のものであり、塩分を含む塩性湿地に生育する「塩性植物(*C*)」である。塩分を多量に含む環境に生育する植物は、高い浸透圧を持つ水から水分を吸収する必要があるので、外界の水よりもより高い浸透圧を保つ必要がある。
多くの塩性植物は多量の塩分を体内に含んでいるので、噛んでみると塩辛いという。
塩性植物は塩分がないと生育出来ないわけではなく、真水でも生育は可能であるらしい。塩分を含まないような沼地では草丈の高い植物が繁茂し、「ウシオハナツメクサ」のような小さい植物は生育が困難である。
彼らは、あえてこの塩分濃度の高い逆境的環境を選んできたのだ。
そこに咲いた小さなピンク色の健気な花・・・見守っていきたい。
*【参照HP】① ウシオハナツメクサ(不確定)[Ⅰ](*4328):[ https://blogs.yahoo.co.jp/rsytw766/15699516.html ]、② ツメクサ類(*A*): a. ハマツメクサ(*473):[ http://blogs.yahoo.co.jp/ryujumihouchida/24303195.html ]、b. ハマツメクサが美しい北九十九島の漁港:[ https://blogs.yahoo.co.jp/ryujumihouchida/41032609.html ]、 c. ツメクサ(*474):[ https://blogs.yahoo.co.jp/ryujumihouchida/24306849.html ]、d. ツメクサ(類)[Ⅱ](*3712):[ http://blogs.yahoo.co.jp/rsytw766/13415458.html ]、e. イトツメクサ(糸爪草):三河野草:[ http://mikawanoyasou.org/data/itotumekusa.htm ]、f. キヌイトイトツメクサ(絹糸爪草):三河野草:[ http://mikawanoyasou.org/data/kinuitotumekusa.htm ]、③ ハマツメクサ(*B*): a. ハマツメクサ(*473):[ http://blogs.yahoo.co.jp/ryujumihouchida/24303195.html ]、b. ハマツメクサが美しい北九十九島の漁港:[ https://blogs.yahoo.co.jp/ryujumihouchida/41032609.html ]、c. ハマツメクサ[Ⅲ](*4330):[近日掲載予定]、④「塩性植物(*C*)」★: a. ハママツナ(*1849):[ https://blogs.yahoo.co.jp/ryujumihouchida/56311603.html ]、b. フクド[別名:ハマヨモギ](*1016):[ http://blogs.yahoo.co.jp/ryujumihouchida/42490170.html ]、c. ウラギク「別名:ハマシオン」(*692):[ https://blogs.yahoo.co.jp/rsytw766/11583490.html ]、[ https://blogs.yahoo.co.jp/rsytw766/11582165.html ]、d. ハマサジ(*693):[ https://blogs.yahoo.co.jp/ryujumihouchida/34857840.html ]、e. ツルナ[Ⅲ](*2812):[ https://blogs.yahoo.co.jp/rsytw766/5865969.html ]、f. ツルナ(*393):[ http://blogs.yahoo.co.jp/ryujumihouchida/21698640.html ]
4329) ウシオハナツメクサ(不確定) [Ⅱ]
* この記事は、前のウシオハナツメクサ(不確定)[Ⅰ](*4328)からの続編。
なんと! びっくりしたことには、昨夕見た半分枯れかかったようなその植物の傍に、緑の濃い同じものがあったのだ。
そして、よく見ると、5mmほどのピンク色の5弁の花が咲いているではないか!
昨夕は全く気づかなかったのに・・・・昼に来てよかった!
その葉はやはりツメクサ類(*A*)に似ているが、艶がなく、何かベトベトしたものが触れる感じがする。蕾らしい膨らみには黒い点が幾つかある。
近くの枯れたような株では、黒っぽい実らしきものは見えたのだが、多くのものは種は落ちてしまっているようにも見える。これは、明らかにハマツメクサ(*B*)とは異なる別種類の植物のようで、ツメクサの一種であろうと考えた。
ツメクサの周辺の植物を調べていたのだが、『ウシオツメクサ』という言葉は見逃したらしい。
今度は、またいつもの「H」さんからコメントが来ていた。
『ナデシコ科ウシオツメクサ属の植物だと思われるが、ウシオツメクサ、ウシオハナツメクサ、ウスベニツメクサで調べてみてはどうか』とのコメントがあり、『この花は陽が充分に当たらないと開かない』と思うとのコメントも付け加えられていた。
次に「H」さんから、鑑別が問題になりそうな「ウシオツメクサ」と「ウシオハナツメクサ」についてのコメントが届いていた。
『雄蕊の数はウシオツメクサが2~5個、ウシオハナツメクサが3~5個、ウスベニツメクサが6~10個であり、その他、(鑑別には)托葉がはっきりと分かる写真も必要』とのコメントだった。
問題は、この野草が「ウシオツメクサ」か「ウシオハナツメクサ」か「ウスベニツメクサ」か?ということになる。
「ウスベニツメクサ」は、北海道や本州に帰化しているとされ、九州での報告はないようである。さらに、この「ウスベニツメクサ」の花弁は基部まで均一な淡紅色とされるので、まず、この「ウスベニツメクサ」という野草は鑑別から外してもよさそうである。
結局、「ウシオハナツメクサ」や「ウシオツメクサ」のいずれかということだろうが、これがなかなか難しい。
両者の鑑別点とされる雄蕊の数や花序の葉と花柄の長さの長短?という点では確認がかなり難しい。雄蕊の数がウシオツメクサが2~5個、ウシオハナツメクサが3~5個、これでは両者は鑑別できない。
花序の葉と花柄の長さの長短、それに葉や茎の腺毛の密度が違うようだが、これらの所見は両者を並べて見ないと分からないだろう。
だが、たしかに、この野草には葉や茎にベトつきがあり、葉や茎に腺毛があるのだ。「ウシオハナツメクサ」の萼片には腺毛が生えているというが、確かにこの野草の萼片にはベタつく小さな毛が生えている。一方の「ウシオツメクサ」にはこの腺毛が少ないとの記述が多いが、はっきりしていない。
両者の重要な鑑別点は、花の様子かも知れない。「ウシオツメクサ」の花びらは白色か先の方だけ淡紅色で、「ウシオハナツメクサ」は基部だけ白いという。こうなると、この花の様子は、花びらの先端に近い方がピンク色であり、「ウシオハナツメクサ」の可能性が高い。
さらに調べてみると、この野草にもあった萼片の下部の黒い点に関する記載もある。
だが、その黒い点は「ウシオツメクサ」「ウシオハナツメクサ」のどちらも萼の基部近くに黒い班点があるという記載がある。萼の基部近くに黒い班点があれば、「ウシオハナツメクサ」という話もあるが、定かではないようだ。
ここまで調べてきたのだが、結論的には、この植物は、どうも「ウシオハナツメクサ」の方のようである。
「ウシオハナツメクサ」は、ナデシコ科 ウシオツメクサ属のものであり、塩分を含む塩性湿地に生育する「塩性植物(*C*)」である。塩分を多量に含む環境に生育する植物は、高い浸透圧を持つ水から水分を吸収する必要があるので、外界の水よりもより高い浸透圧を保つ必要がある。
多くの塩性植物は多量の塩分を体内に含んでいるので、噛んでみると塩辛いという。
塩性植物は塩分がないと生育出来ないわけではなく、真水でも生育は可能であるらしい。塩分を含まないような沼地では草丈の高い植物が繁茂し、「ウシオハナツメクサ」のような小さい植物は生育が困難である。
彼らは、あえてこの塩分濃度の高い逆境的環境を選んできたのだ。
そこに咲いた小さなピンク色の健気な花・・・見守っていきたい。
*【参照HP】① ウシオハナツメクサ(不確定)[Ⅰ](*4328):[ https://blogs.yahoo.co.jp/rsytw766/15699516.html ]、② ツメクサ類(*A*): a. ハマツメクサ(*473):[ http://blogs.yahoo.co.jp/ryujumihouchida/24303195.html ]、b. ハマツメクサが美しい北九十九島の漁港:[ https://blogs.yahoo.co.jp/ryujumihouchida/41032609.html ]、 c. ツメクサ(*474):[ https://blogs.yahoo.co.jp/ryujumihouchida/24306849.html ]、d. ツメクサ(類)[Ⅱ](*3712):[ http://blogs.yahoo.co.jp/rsytw766/13415458.html ]、e. イトツメクサ(糸爪草):三河野草:[ http://mikawanoyasou.org/data/itotumekusa.htm ]、f. キヌイトイトツメクサ(絹糸爪草):三河野草:[ http://mikawanoyasou.org/data/kinuitotumekusa.htm ]、③ ハマツメクサ(*B*): a. ハマツメクサ(*473):[ http://blogs.yahoo.co.jp/ryujumihouchida/24303195.html ]、b. ハマツメクサが美しい北九十九島の漁港:[ https://blogs.yahoo.co.jp/ryujumihouchida/41032609.html ]、c. ハマツメクサ[Ⅲ](*4330):[近日掲載予定]、④「塩性植物(*C*)」★: a. ハママツナ(*1849):[ https://blogs.yahoo.co.jp/ryujumihouchida/56311603.html ]、b. フクド[別名:ハマヨモギ](*1016):[ http://blogs.yahoo.co.jp/ryujumihouchida/42490170.html ]、c. ウラギク「別名:ハマシオン」(*692):[ https://blogs.yahoo.co.jp/rsytw766/11583490.html ]、[ https://blogs.yahoo.co.jp/rsytw766/11582165.html ]、d. ハマサジ(*693):[ https://blogs.yahoo.co.jp/ryujumihouchida/34857840.html ]、e. ツルナ[Ⅲ](*2812):[ https://blogs.yahoo.co.jp/rsytw766/5865969.html ]、f. ツルナ(*393):[ http://blogs.yahoo.co.jp/ryujumihouchida/21698640.html ]