過去の「山野草図鑑歳時記・Ⅲ」のアーカイブ

山野草図鑑歳時記[Ⅱ][Ⅲ]、さらに山川草木・動物 歳時記[Ⅰ]・[Ⅱ]に続けます。 こちらは山野草図鑑歳時記[Ⅲ] のみのアーカイブです。

2018年08月

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                             * 2018.08.22


≪旬の風 802≫ 

             ヨツボシトンボ



 新しいトンボの種類(*A*)に出会うとひどく興奮を覚え、なにか僕の胸は高鳴る。

 甲虫類、特に、小さなハムシ類(*B*)などは知らない種類ものがウジャウジャいて名前の判らないものばかりだ。そのために、ハムシ類は名前がわからないものばかりと諦めているているところがある。

 だが、イトトンボ類(*)は別にして、体の比較的大きなトンボ類では明らかに違った特徴のものを見つけつと『おおッ!』ということになり、何という名前か知りたくなる。

 6月下旬に行った北海道の釧路湿原「温根内」(*)で2回も見たものは、初めて見る「トンボ」だった。

 かつて図鑑で見ていた「ベッコウトンボ」(*)に似ていると感じたが、茶色の鼈甲の部分が少なく違うものだとも思った。

 意外にも、近くによっても ハグロトンボ(*)のようにはすぐ逃げないので、翅の微細な脈まで鮮明に見えるような良い写真が撮れた。

 どうも・・「ヨツボシトンボ」というものらしい。

 この「ヨツボシトンボ」というのは、生まれてこの方、長崎や佐賀、熊本などで僕は見たことがない。もちろん、よく探してきたわけではないのだが普通には見ないトンボのように思われる。

 北海道・本州・四国・九州,および周辺の離島に分布するらしい。

 「ヨツボシトンボ」の特徴としては、胸部・腹部には黄褐色の地に黒褐色の斑紋があり,特に翅の縁紋付近に【黒い点】があることである。これが翅紋のほかに4個があり星(ほし)としたものだ。体の大きさは39~52mmとされる。 
 紛らわしいような類似種はいないので、同定上の問題点はない。
 ただ、時に,翅の黒褐色斑が広がった個体が発見されることがある.これには型名が与えられていて、「プラエヌビラ型」( forma praenubila )と呼ばれている。また、先に述べた「ベッコウトンボ」との交雑個体が報告されており,これは翅の模様が「ベッコウトンボ」に近いものだという。

 先に生息域を日本全国としたのだが、主には寒冷地などの平地のヨシ(*)などの挺水植物が繁茂する池沼、湿原に生息しているようで、4月後半から出現し7月ころまで見られるという。
 ただ、西南日本では産地が限られ「希」であるという記載もある。また、地域によっては、絶滅危惧Ⅱ類、準絶滅危惧種として選定しているところもあるようだ。




*【参照HP】 ① トンボの種類(*A*):、
② ハムシ類(*B*):、
③ イトトンボ類(*):、
④ 北海道の釧路湿原「温根内」(*):、
⑤ ベッコウトンボ(*):、
⑥ ハグロトンボ(*):、
⑦ ヨシ(*):、

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                                  * 2018.08.16


≪旬の風 801≫   

              ミヤマカラスアゲハ (♂) [不確定]


 体の大きなアゲハチョウの仲間(*A*)でも最大のものは、何といっても、ミヤマカラスアゲハ(*B*)だろう。それに、翅(はね)の美しさからいうと、このミヤマカラスアゲハの「♀」のものは本当に抜群に素晴らしいものである。
 黒い夜の闇の中のネオンという表現のあろうが、黒いベルベット布地に散りばめた色とりどりの小さな光る宝石と言った方がピタッとくる感じだ。

 今回久しぶりに北海道は釧路湿原の広がる「温根内ビジターセンター」近くの湿原の林の中で 翅を休めて留まっているミヤマカラスアゲハの♂らしいものを見つけた。

 その大きさから普通に見るカラスアゲハ(*C*)より一回り大きいものだったから、ミヤマカラスアゲハのの♂だろうと断定したのだ。

 なるべく逃げられないように静かにして3mほどの距離からそっと写真を撮った。

 写真を見てみるとその細部まで撮れていたが、やっぱり、このミヤマカラスアゲハ(もしくは、カラスアゲハ)というチョウは素晴らしい。

 思い出す・・・この「ミヤマカラスアゲハ」という大きなチョウを初めて見たのは小学校の3~4年生頃のことだったろう。

 長崎の実家の近くに住む悪ガキの兄弟が「岩屋山」という長崎市の北西部にある400m以上もある山の中腹で、その「ミヤマカラスアゲハ」を捕えて、わざわざ僕の所に届けてくれたのだった。
 当時、僕が昆虫採集をしていることは近所で知れ渡っていたので、こんなに美しいチョウがいたということで、僕に届けてくれたのだった。

 僕はその美しさに驚くとともに、彼らに対する敬服の気持ちを抱いたものだった。

 パッと目に「ミヤマカラスアゲハ」と「カラスアゲハ」を見分けるのは難しい。前者は後者より一般的に大きいのであるが、個体差もあり大きさだけからは鑑別はできないようだ。
 本格的な「ミヤマカラスアゲハ」と「カラスアゲハ」の見分け方(*D*)だが、「夏型の♂」に関して述べられているのは、翅裏面の文様である。
 これは並べて見ないと分かりにくいのだが、前翅裏面の白い帯が太いのは「カラスアゲハ」であり、見えにくいものもある。一方の「ミヤマカラスアゲハ」では、それが細いが明瞭である。後翅裏面に黄色い帯が現れるものは、まず、「ミヤマカラスアゲハ」である。その後翅裏面の黄色い帯は春型♂ではもっと鮮やかで、夏型の場合、薄いものもいる。

 この釧路湿原[温根内](*E*)で見たものは、一見して大きく「ミヤマカラスアゲハ」の方だと思って写真を裏面に近いところまで撮ったのだが、よく判らない。「カラスアゲハ」の方かもしれない。はっきりさせるために掴まえてみるというのは野暮だし許されない。 

 ま、その大きさだけで、「ミヤマカラスアゲハ」の方だと思うことにした。





*【参照HP】① アゲハチョウの仲間(*A*):30000回アクセス記念 蝶 19 : アゲハチョウ≫:いろいろなアゲハチョウの種類:[ http://blogs.yahoo.co.jp/ryujumihouchida/54760441.html ]、② ミヤマカラスアゲハ(*B*): a. ≪旬の風 527≫ ミヤマカラスアゲハの幼虫 : [ https://blogs.yahoo.co.jp/rsytw766/14699196.html ]、b. ≪30000回アクセス記念 蝶 19 : アゲハチョウ≫:いろいろなアゲハチョウの種類:[ http://blogs.yahoo.co.jp/ryujumihouchida/54760441.html ]、c. 神戸の自然シリーズ 8:神戸の蝶:11.ミヤマカラスアゲハ/アゲハチョウ科:[ http://www2.kobe-c.ed.jp/shizen/buttfly/buttfly/08026.html ]、③ カラスアゲハ(*C*):a. ≪旬の風 682≫ Ryujuの昆虫撮集 ⑥ チョウ ★★:[ https://blogs.yahoo.co.jp/rsytw766/15811817.html ]、b.「大阪市とその周辺の蝶」:[ http://butterflyandsky.fan.coocan.jp/main.html ]・カラスアゲハ ★:[ http://butterflyandsky.fan.coocan.jp/shubetsu/ageha/karasu/karasua.html ]、④ 「ミヤマカラスアゲハ」と「カラスアゲハ」の見分け方(*D*): a. 黒いアゲハチョウの見分け方::[ http://www.j-nature.jp/butterfly/zukan/yokunita/blackageha/ ]、b. カラスアゲハとミヤマカラスアゲハの比較:[ http://y-field.com/butterfly/ageha/karasu/specimen2.html ]、d. 類似☆ カラスアゲハ × ミヤマカラスアゲハ Ver.1.0 :[ http://yoda1.exblog.jp/11654138/ ]、⑤ 釧路湿原[温根内](*E*):≪瞬の風 777-⑰≫ 釧路湿原 Ⅱ:[ https://blogs.yahoo.co.jp/rsytw766/16425159.html ]

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                                        * 2018.08.21



4891) ヒメカイウ


 これが、あの「尾瀬沼」に咲くミズバショウ(*3135)かと、てっきり、思った。ただ過去にこの北海道の利尻島(*A*)で花の咲いていないミズバショウは見たことがあった。ただ、それには“お化け”のように大きな葉をつけていて、僕のミズバショウのイメージとは程遠かったのだ。

 今回見たカラー[Calla](*2273)のような白い花、花のある時はこんな風にまだ葉が小さいのだろうと思って、ミズバショウだと思っていた。ところが、この湿原にあった説明板の写真と名前を見て愕然とした。
 この花は、ミズバショウではなく、この「ヒメカイワ」というものだったのだ。

 「ヒメカイウ」は、「姫海芋」とかかれるが、サトイモ科の植物であり、本種のみでヒメカイウ属を構成するという。ミズバショウの方は、サトイモ科だがミズバショウ属である。この「ヒメカイウ」、別の和名では「ミズザゼン」、「ミズイモ」ともいうらしい。

 このヒメカイウは、学名 [ Calla palustris ]だが、ヒメカイウ属の学名[ Calla ]の由来はよくわかっていないという。あの白いカラーと同じ[ Calla ]である。種小名[ palustris ]はラテン語で「沼地を好む」の意で、本種が沼地などの湿った場所に生育することを示している。なお、属名のカナ読みである「カラー」は、通常別属のオランダカイウ属の種、あるいは「オランダカイウ」のことを指すという。

 日本語の「カイウ」は「海芋」であり、海外から渡ってきたサトイモ科の「芋」の意らしい。園芸植物として流通し逸出もしている【カラー】すなわち、「オランダカイウ」などのことだが、似ていて小さいことから「ヒメ」がつけられ、この名がある。
 いかにもミズバショウ(*3135)のような、いや、ミズバショウを貧弱にしたような植物だが別属のヒメカイウ属である。

 「ミズバショウ」はどこでも普通に見ることができるようだが、この「ヒメカイウ」は見つけることはかなり困難で、準絶滅危惧(NT)とされているという。
 山野の水湿地に生える多年草で、直径1-2cmの太い根茎が横にはい、節から多数の根を出す。葉柄は長さ10-25cmで葉柄鞘部の上端に長さ3-5cmの膜質の葉舌がある。
 葉は心形で全縁、長さ幅とも7-15cm。その「仏炎苞」(*B*)は白色で筒部がなく、長さ4-6cmの広卵形~広楕円形で、果序を包まず、花後も脱落しないという。
 地上茎はなく、花茎は根生し高さ15-30cmになる。花序は有柄で長さ2-3cmの円柱形で上方に付属体はない。花は花被がなく、普通6個の黄色い雄しべと1個の緑色の雌しべからなる両性花だが花序の頂部はしばしば雄しべだけからなる単性花となる。

 その花期は6-7月で、北海道以外に本州の北部・中部の低地から山地の湿地にも見られる。僕らが釧路湿原[温根内](*C*)に行った頃がその花期だったのだ。

 そういえば、屈斜路湖の和琴半島(*D*)で見かけた小さなミズバショウらしいものもこの「ヒメカイウ」だったのかもしれない。その外観は小型のミズバショウといった形態をしていた。

 ミズバショウの花を見たことのない僕だが、あの葉の巨大さからすれば、ミズバショウの花というのは、想像を絶するような大きなものかもしれない。

 もしかしたら、来年には、あの「尾瀬沼」に咲くミズバショウを見るかもしれない。僕の懇意にしている友人夫婦と行ってみようとの話が出ているからだ。






*【参照HP】 ① ミズバショウ(*3135):[ https://blogs.yahoo.co.jp/rsytw766/10142833.html ]、② 北海道の利尻島(*A*):a. ≪旬の風 243≫ 利尻島 :[ https://blogs.yahoo.co.jp/rsytw766/9927886.html ]、b. エゾカンゾウ「蝦夷カンゾウ」(*3106):[ https://blogs.yahoo.co.jp/rsytw766/9935010.html ]、c. エゾカンゾウ[Ⅱ](*3130)★:[ https://blogs.yahoo.co.jp/rsytw766/10111263.html ]、d. シロヨモギ(*3132):[ https://blogs.yahoo.co.jp/rsytw766/10124737.html ]、e. ヤナギトラノオ(*3136):[ https://blogs.yahoo.co.jp/rsytw766/10151076.html ]、f. セイヨウノコギリソウ?[不確定](*3137):[ https://blogs.yahoo.co.jp/rsytw766/10157584.html ]、g. クルマバツクバネソウ(*3139):[ https://blogs.yahoo.co.jp/rsytw766/10170615.html ]、h. ライラック[Ⅱ](*3141):[ https://blogs.yahoo.co.jp/rsytw766/10184774.html ]、i. リシリヒナゲシ(モドキ?)(*3143):[ https://blogs.yahoo.co.jp/rsytw766/10196262.html ]、j. ギンドロ[銀泥](*3145):[ https://blogs.yahoo.co.jp/rsytw766/10211302.html ]、k. コウリンタンポポ(*3100):[ https://blogs.yahoo.co.jp/rsytw766/9875931.html ]、l. エゾカンゾウ「蝦夷カンゾウ」(*3106):[ https://blogs.yahoo.co.jp/rsytw766/9935010.html ]、m. ミヤマオダマキ(*3107):[ https://blogs.yahoo.co.jp/rsytw766/9942010.html ]、n. バイケイソウ(*3108):[ https://blogs.yahoo.co.jp/rsytw766/9948187.html ]、o. チシマフウロ(*3109):[ https://blogs.yahoo.co.jp/rsytw766/9955146.html ]、③ カラー(*2273):[ http://blogs.yahoo.co.jp/ryujumihouchida/59463064.html ]、④ 「仏炎苞」(*B*):A. 仏炎苞: a.コトバンク:[ https://kotobank.jp/word/%E4%BB%8F%E7%82%8E%E8%8B%9E-619037 ]、b.goo国語辞典: 仏炎苞::[ https://dictionary.goo.ne.jp/jn/193383/meaning/m0u/ ]、B. 奇妙な「仏炎苞」を持つ植物: a. ミミガタテンナンショウ(*679):[ http://blogs.yahoo.co.jp/ryujumihouchida/33915996.html ]、b. ヒトヨシテンナンショウ [人吉天南星](*2892):[ http://blogs.yahoo.co.jp/rsytw766/5913647.html ]、c. ≪旬の風 113≫ テンナンショウの“お化け”:[ http://blogs.yahoo.co.jp/ryujumihouchida/60566454.html ]、d. コンニャク(*2140):[ http://blogs.yahoo.co.jp/ryujumihouchida/58837407.html ]、e. マムシグサ(*360-A.B):A.[ http://geocities.yahoo.co.jp/gl/ryujumihouchida/view/20050901 ]「http://geocities.yahoo.co.jp/gl/ryujumihouchida/view/20051205 ],B.[ http://geocities.yahoo.co.jp/gl/ryujumihouchida/view/20050901 ]、[ http://geocities.yahoo.co.jp/gl/ryujumihouchida/view/20051205 ]、f. ムサシアブミ(*596):[ http://blogs.yahoo.co.jp/ryujumihouchida/29685325.html ]、g. カラスビシャク(別名:ムラサキハンゲ)[Ⅰ,Ⅱ](*228-A,B):[ http://geocities.yahoo.co.jp/gl/ryujumihouchida/view/20051021 ]、h. アンスリューム[Ⅱ[(*3311):[ https://blogs.yahoo.co.jp/rsytw766/11392282.html ]、⑤ 釧路湿原[温根内](*C*):≪瞬の風 777-⑰≫ 釧路湿原 [Ⅱ]:[ https://blogs.yahoo.co.jp/rsytw766/16425159.html ]、⑥ 屈斜路湖の和琴半島(*D*): a. ≪瞬の風 777-⑥≫ 屈斜路湖 :[ https://blogs.yahoo.co.jp/rsytw766/16391228.html ]、b. ≪瞬の風 777-⑦≫ 美幌峠 ★:[ https://blogs.yahoo.co.jp/rsytw766/16391737.html ]、a. 弟子屈ナビ 和琴半島(摩周エリア):[ http://www.masyuko.or.jp/pc/sightseeing/wakoto.html ]、c. 川湯エコミュージアムセンター 和琴半島 :[ http://www.kawayu-eco-museum.com/wakotopeninsula/ ]、c. HOKKAIDO LIKERS 屈斜路湖の和琴半島をぐるりと一周!四季の自然と火山活動の迫力を楽しもう:[ http://www.hokkaidolikers.com/articles/4188 ] 

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                                 * 2018.08.16


4890) ヤマブキショウマ


 北海道の「釧路湿原」は温根内地区のビジターセンターの湿原(*A*)で見た白い花だが、いかにもその形から「○○ショウマ」というものだと考えた。

一般に「ショウマ(升麻)」という名前のものは、日本においてはキンポウゲ科の植物であるサラシナショウマ(*384)とその近縁種の漢方での名称であるが、科と属をまたいで広範囲の植物名に用いられている。何とも、厄介で煩雑な感じがする。

 「○○ショウマ」というものは、これまでにいくつかの種類を見てきたが、その鑑別は楽ではない。

 総状花序に小さな花がピラピラ付いたような感じのもので、似たようなものが幾つかあるが、花序の分岐が少ないものはチダケサシの類(*B*)と思ってきた。

 今回のものは花序にいくつもの分岐があり、「○○ショウマ」らしく見える。これまでに見たことのあるサラシナショウマ(*384)はその花全体が大きいものだったし、オオバショウマ(*C*)とは奇数羽状複葉でよく似ているのだが、こちらの方(オオバショウマ)は葉の先が丸っぽいので違うように思われる。

 それでは、これは何か?

 名前だけ知ったものの中に「トリアシショウマ」(*D*)というものがあるが、花の花序全体がニワトリ(*E*)の足に似ているというのだ。

 たしかに、『ニワトリの足』に似ているといえば似ていないでもない。例の親切な野草のサイト(*F*)で聞いてみることにした。

 『花柄の分岐した(総状に?)ついた白い花の植物ですが、名前が判りません。北国の湿原で見たものです。背丈は50~60cmくらいのものだったと思います。奇数羽状複葉のものです。数ミリの白い花からの雄蕊の飛び出しが目立ちます。花序からチダケサシではないように思います。
「〇〇ショウマ」と名前の付くような植物(*G*)に見えますが、葉の形からオオバショウマではないような・・・何か判りません。もしかしたら、トリアシショウマとも思いましたが確信が持てません。どうぞ、この植物名をお教えください。』

 これに対して、多くのコメントが届いた。その中の一つに、

 『候補の名が挙げられるのに、確信が持てないからと掲示板で聞くのは少しちがうかしらと思います。画像よりも実際に見ている方が絶対に観察点を沢山把握しているはずです。トリアシショウマをこの機会にしっかり調べて自分の記憶を確かなものにしましょうよ。』というのがあった。

 このコメントへの僕の返事。

 『確信が持てなくて、この掲示板で聞くのは確信が持てないからとこの掲示板でお聞きするのは間違い、お門違いということですね。・・・う~ん、「もっとよく調べよ! 実際に見たものがよく見ているはずだ」からって、いうことですね。わかりました。やっぱり、これは「トリアシショウマ」ですね。』

 もう一つのコメントは、「M」さんという方からのもので、調べなくてはならないので最後に回したのだが、、次のようなものだった。『

 『バラ科のヤマブキショウマでご検討下さい。』

 「ヤマブキショウマ?」・・・初めて聞く「○○ショウマ」だが、バラ科のもの?

 さっと「ヤマブキショウマ」を調べたのだが、その中に『葉の側脈が明瞭で、斜めに平行して11~15本あり、葉縁までとどく』という文字に目がとまったのだ。

 その質問中の「○○ショウマ」らしいものの葉が、なにかヤマブキ(*H*)の葉に似ているとチラッと思っていたのだが、それが僕の琴線に触れたのだった。

 葉がヤマブキの葉に似ている「○○ショウマ」・・・それは、この「ヤマブキショウマ」に違いないと思った。

 写した5枚の写真からでわかる範囲の所見が全くそれに一致していたのだ。すなわち、この植物の花の部分はヤマブキショウマとよく似ていた。あっちこっちに伸びた(
分岐して伸びた)花序はそっくりだったが、ほかの「○○ショウマ」もこれと似たようなものだ。この植物の葉の方はヤマブキショウマは2回3出の複葉で、小葉は長さが3~10cm、卵円形で、葉先が尾状に細長いとある。葉縁に鋸歯があり、側脈が明瞭で、斜めに平行して11-15本あり、葉縁までとどくとあった。まさに、この質問の野草の特徴が「ヤマブキショウマ」に一致していたのだ。

 さらに、花は茎先の枝分かれした円錐状の総状花序で、長さは10~30cm。小さな花を多数つけ、その花は径約2.5mmで、花弁はへら形で5個、雄蕊は花弁より長く、多数あるとあった。

 この植物は、上記の「トリアシショウマ」ではなく、ヤマブキショウマ(バラ科)と確信した次第だった。

 『トリアシショウマ(ではないか?)と思ったこの機会にしっかり調べて自分の記憶を確かなものにしましょうよ』という、あのサイトの「O」さんのコメント通りのことを実行したことになったのである。

 ただ、「M」さんという方からの『バラ科のヤマブキショウマでご検討下さい』の言葉がなければ、僕には、ここに至ることにはならなかったのである。

 ちなみに、初めに考えたトリアシショウマ[鳥足升麻](*D*)は、ユキノシタ科ケダチサシ属のものである。そのトリアシショウマの特徴としては、茎が赤褐色で毛が生え、茎先が「鳥の足状」に3つに分枝している.葉は3回3出複葉(*I*)で互い違いに生え、その葉脈は『本数が少なく平行感が無い』ということなのだ。




①「釧路湿原」は温根内地区のビジターセンターの湿原(*A*): a. ≪瞬の風 777-⑰≫ 釧路湿原 Ⅱ:[ https://blogs.yahoo.co.jp/rsytw766/16425159.html ]、b. ≪旬の風 801≫ ミヤマカラスアゲハ (♂) [不確定]:[ https://blogs.yahoo.co.jp/rsytw766/16432814.html ]、c. ワタスゲ(*4890):[近日掲載予定]、d. ミツガシワ(*4891):[近日掲載予定]、e. エンコウソウ(*4892):[近日掲載予定]、f. ヒメカイワ(*4893):[近日掲載予定]、② サラシナショウマ[?](*384):[ http://blogs.yahoo.co.jp/ryujumihouchida/54239040.html ]、③ チダケサシの類(*B*): a. チダケサシ(*937):[ http://blogs.yahoo.co.jp/ryujumihouchida/39853440.html ]、b. シロバナチダケサシ(*1059):[ http://blogs.yahoo.co.jp/ryujumihouchida/47988366.html ]、④ オオバショウマ(*C*)← イヌショウマからの変更: a. オオバショウマ(*1788):[ https://blogs.yahoo.co.jp/ryujumihouchida/55339833.html ]、b. オオバショウマ(*3198):[ https://blogs.yahoo.co.jp/rsytw766/10615908.html ]、⑤ 「トリアシショウマ」(*D*): a. トリアシショウマ[鳥足升麻](*D*):Wikipedia トリアシショウマ:[ https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%88%E3%83%AA%E3%82%A2%E3%82%B7%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%82%A6%E3%83%9E ]、b. 松江の花図鑑 トリアシショウマ(鳥足升麻):[ https://matsue-hana.com/hana/toriasisyouma.html ]、c. 多摩丘陵の植物と里山の研究室 トリアシショウマ(鳥足升麻):[ http://www.geocities.jp/tama9midorijii/ptop/todop/toriashisyouma.html ]、⑥ ニワトリ(*E*):[検索中]、⑦ 例の親切な野草のサイト(*F*):草花を愛でる方々のためのお尋ねBBS:[ http://www2.ezbbs.net/18/jswc_3242/ ]、⑧「〇〇ショウマ」と名前の付くような植物(*G*): a. サラシナショウマ[?](*384):[ http://blogs.yahoo.co.jp/ryujumihouchida/54239040.html ]、b. オオバショウマ(*1788):[ https://blogs.yahoo.co.jp/ryujumihouchida/55339833.html ]、c. オオバショウマ(*3198):[ https://blogs.yahoo.co.jp/rsytw766/10615908.html ]、d. トリアシショウマ(*D*):[上記]、e. アワモリショウマ [ 別名:アワモリソウ[泡盛草]:[ https://blogs.yahoo.co.jp/ryujumihouchida/60288049.html ]、⑨ ヤマブキ(*H*): a. ヤマブキ(*553):[ http://blogs.yahoo.co.jp/ryujumihouchida/26602841.html ]、b. ヤマブキ[Ⅱ](*3028):[ http://blogs.yahoo.co.jp/rsytw766/9244199.html ]、c. ヤエヤマブキ(*940):[ http://blogs.yahoo.co.jp/ryujumihouchida/40902792.html ]、ヤエヤマブキ[Ⅲ](*3679):[ https://blogs.yahoo.co.jp/rsytw766/13350480.html ]、⑩ 3回3出複葉(*I*)☆:複葉のいろいろ:[ http://www.ysn21.jp/~eipos/data/02_WB/h15/bunarin/3fukuyou2.htm ]

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                                  * 2018.08.17


4889) ワタスゲ


 「ほらほら・・・あそこに、”ワタスゲ”がありますよ・・・」

 「え! ”ワタスゲ”? ど、どこです?」

 「ほらすぐ下のコケの向こうに白い毛みたいのが風に揺れているでしょう・・・あそこ、あそこ・・」

 たまたまこの「釧路湿原」(*A*)で出会い、一緒に周ってくれていた釧路の親切なご夫婦の奥さんがその細い指先を緑の湿原の中を指さしていた。

 確かに、そこには白い鳥の産毛が草にひかかって靡いているように揺れていた。

 『おお・・・あれが”ワタスゲ”ちうものか・・・』と思った。

 確か、あのミズバショウ(*3135)で有名な『尾瀬沼』に、その膨大な数の ”ワタスゲ”が咲いている写真を見たことがあった。その ”ワタスゲ”がこれなんだと思った。

 ただ、その「温根内の釧路湿原」(*C*)では、いくつか数えられるほどの数のものでしかなかった。”ワタスゲ”の白い穂の出る季節が終わってしまっているのか、まだまだ これからなのかは解らなかった。

その真っ白い綿毛は大きくなって風に靡いてちぎれるような恰好のものもあれば、綿棒の先みたいにまだ固い白いものもある。それは、細長い花柄の先に五つがついているように見え、それが大きくなると一つのワタの花みたいになるのだと思われた。

 ワタスゲのあるところは下はジュクジュクの湿地であり、そこには分厚いコケ類が生えていた。もっと多くの「ワタスゲ」の白い穂が一斉に靡いているあの『尾瀬沼』のような光景を見たかった。

 「ワタスゲ」というものを見ただけでも幸運だったのに、僕という人間は何と欲の深い男なんだろう・・・・

 この「ワタスゲ」はこの北海道と本州中北部のミズゴケ湿原などにはえる珍しい野草なのだ。カヤツリグサ科ワタスゲ属の多年草であり、別名でスズメノケヤリ(雀の毛槍)ともいうらしい。  

 「ワタスゲ」という野草は、葉は細長く線形で断面は三角形だとある。その葉と茎は高さ20〜50cmで根生して大株をつくるようだ。初夏に茎頂に小穂を1個だけつける。 刺針状の花被片が多数あり、花はものすごく地味だという。その花後に2cm内外の綿毛がでてくる。小穂全体は白色の球形で槍のように見えるため「スズメノケヤリ」の名もあるという。


 先にも述べたように、「ワタスゲ」は北半球の高山や寒地に分布する。日本では北海道から中部地方以北の高山帯から亜高山帯の高層湿原に分布し、大群生をつくることが多い。ワタスゲの白い穂の大群生があの「尾瀬沼」の初夏の風物詩ともなっているのだ。

 ワタスゲの花期は5-6月で白い穂の大群が風に揺れるあの風景は6月の下旬から8月というから、僕らはその白い穂の目立つ初め頃の時期に「温根内の釧路湿原」に訪れていたわけだ。
 ここの「ワタスゲ」は数自体が多くなかったのだが、ワタスゲは年によって生育の差が強い植物であるらしく、数量の多少はお天気に左右されるという。

 ちらほらと見えたワタスゲの真っ白な穂が風に靡く姿は涼しげではあるのだが、どこか寂しい風情でもあった。花が終わる8月にはここでも多くの穂が見られるのかもしれない。

 絶滅危惧種に指定されている地域もあるようで、是非、守っていきたい野草である。




*【参照HP】①「釧路湿原」(*A*): a. ≪瞬の風 777-⑤≫ 釧路まで :[ https://blogs.yahoo.co.jp/rsytw766/16397356.html ]、b. ≪瞬の風 777-⑯≫ 釧路湿原 [Ⅰ](展望台周辺):[ https://blogs.yahoo.co.jp/rsytw766/16425141.html ]、c. ≪瞬の風 777-⑰≫ 釧路湿原 Ⅱ:[ https://blogs.yahoo.co.jp/rsytw766/16425159.html ]、② ミズバショウ(*3135):[ https://blogs.yahoo.co.jp/rsytw766/10142833.html ]、③ 「温根内の釧路湿原」(*B*):≪瞬の風 777-⑰≫ 釧路湿原 Ⅱ:[ https://blogs.yahoo.co.jp/rsytw766/16425159.html ]

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